>>573
1) 「最後通牒である」ことが自動的に「悪い取引である」ことの「証拠」にはならない。エコノミストの論理は破綻している。
最後通牒になった理由はウクライナとウクライナを支援する欧州が「近視眼的な姿勢」で「希望的観測にあまりにも多くの時間を浪費」したからに他ならず、それはこの本文中で十分に認められている通りだ。

2)「トランプ氏は最終的に関心を失う」ことはない。この和平案が破綻し、最終的に当事者どちらかが敗北する一方的な結末になったところで、関与を示す姿勢さえ保っていれば、少なくともトランプは仲介者として名誉が得られるし、アメリカは鉱物協定その他で利益を追求できる可能性がある。
そもそも本当にトランプが最終的に関心を失ってしまうのであれば、アメリカからウクライナへの一切の支援がなくなり、米露2国間関係の修復、制裁解除が先に進んでしまうだけだ。それがゼレンスキーの望みだろうか? この点でもエコノミストの論理は破綻している。

3)この和平案はウクライナの主権を守り、平和を担保することを目的としている。文面に即してその実現性や実効性について批判することは問題ではないが、ここでは一足飛びに「ウクライナが崩壊した場合」について論ずること自体で、またもや論理が破綻している。
そして、その場合の「この戦いは絶望的なものとなり、費用は高額になる」こと自体への解決策は一切示されていない。
そのような事態を避けるためにアメリカから今回の和平案が提案されたことは自明なのだが、ここでは和平案を改善して推進することではなく、「トランプ氏の関心を失なわせ」「現状のまま合意を進めないよう」主張しているに過ぎない。
そういった態度こそが「近視眼的な姿勢」で「希望的観測にあまりにも多くの時間を浪費」した原因の一つに他ならない。