>>279
遺体交換数を戦死者の比率とする主張には根本的な問題がある。

第一に、ウクライナ戦争では流動的な前線や無人機・精密兵器の使用により、遺体回収が困難になる構造がある。従来の戦史の経験則が自動的に通用するとは限らない。

第二に、米英などの分析機関は衛星画像・兵員ローテーション・捕虜数など多角的な情報を用いて推定しており、操作可能な情報源のみという主張には根拠がない。一方で、ロシアの統計は不透明で、比較対象として不均衡である。

第三に、赤十字による遺体交換は透明性が高いとされるが、交換前からウクライナ側は疑義を示しており、検証なく「根拠がない」と断じるのは一方的である。

第四に、遺体交換数が他の要素と一致しているという理由で、死傷者の非対称性を「証明」するのは因果関係の飛躍である。徴兵の拡大や前線の推移などは他の戦術的要因でも説明可能。

そして何より、不確かな材料で断定を行う姿勢自体が、客観的な議論というよりも情報操作の一環に見える。不確定な指標はまず疑うべきものであり、戦況の理解には複数の検証可能なデータと冷静な分析が必要である。