>>877
ウクライナにおいても戦時下の情報管理は行われているが、ロシアと比較すると統制の度合いや性質は大きく異なる。

ウクライナ政府は戦死者数などの軍事損耗に関する詳細な統計を定期的には公表しておらず、報道機関も軍事機密に配慮した報道姿勢を取っている。ただし、西側の軍事分析機関や報道機関による推計に対してウクライナ政府が一定の協力を行っていることが確認されており、情報の透明性は相対的に高い。たとえば、CSIS(米戦略国際問題研究所)や英国防省は、ウクライナ側の死傷者数を推計する際に、ウクライナ政府の発表や現地取材を参照している。

一方、ロシアでは戦死者数に関する情報は国家機密として扱われており、公開や報道は厳しく制限されている。ロシア政府は戦死者の氏名や人数を含む情報を「違法な情報開示」として規制し、Google社に罰金を科すなど、国外の情報発信に対しても圧力をかけている。また、ロシア大統領府報道官は「情報空間でも戦争は続いている」と述べ、メディア検閲の正当性を主張している。

このように、ウクライナにも戦時下の情報管理は存在するが、ロシアのように刑事罰や国外企業への制裁を伴う厳格な情報統制とは性質が異なる。比較の観点から見れば、ウクライナの情報管理は軍事的配慮に基づく限定的なものであり、ロシアのような体系的な検閲・封鎖とは区別される。したがって、両国の情報統制を同列に扱うことは適切ではない。