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「共産主義が政権をとると現実が酷くなる」という指摘は、歴史的事例に基づく一般論として理解できるが、問題の本質はイデオロギーそのものよりも、表現の自由や権力分立といった制度的防波堤の軽視にある。

ソ連体制下では、マルクス主義史観に基づく一党支配が、ロシアの伝統的な権威主義体質と結びつき、秘密警察による監視、言論統制、司法の従属が制度化された。これは単なる共産主義の結果ではなく、ロシアにおける中央集権的統治と制度的自由の軽視という歴史的傾向の延長線上にある。

プーチン政権下でも、形式的には選挙や議会制度が維持されているが、実質的には憲法改正による任期延長、議会の形骸化、独立メディアの排除など、制度の枠内から制度を変質させる手法が用いられている。これは共産主義体制とは異なるが、表現の自由と権力分立の軽視という構造的問題は継続している。

したがって、問題は特定のイデオロギーではなく、制度的自由を支える仕組みが機能不全に陥ることであり、それがロシアの政治文化と統治伝統に根ざしている点を見落としてはならない。