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療養中の19歳二等兵・米朝「遂に一席やってしまふ」…初の落語披露は「上方屈指の大ネタ」だった
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 1945年、兵庫県内の陸軍施設で病気療養中だった19歳の二等兵が、若い男女の悲恋を描く上方落語の大ネタ「立ちぎれ線香」を患者仲間に口演した。二等兵はのちに「上方落語中興の祖」と呼ばれる桂米朝だ。聞き手と心を通わせたこの瞬間は、噺(はなし)家としての原点になったという。今年の米朝生誕100年を記念して14日から開かれる特別展で、当時の日記などの関連資料が展示される。
 米朝は45年2月に陸軍に入隊し、その後、急性腎臓炎で郷里の姫路市にあった陸軍病院に入院。3月15日、幼少期から親しんだ落語の話で同室者と盛り上がり、初めて落語を披露する。日記にこう書いている。

 「立ちぎれ線香」を遂(つい)に、一席やってしまふ。我ながら呆(あき)れたり。

 別の療養所に移った後の5月27日、再び療養仲間に披露した。

 大分皆にも感銘ありたるらしく、認識到りたるものの如(ごと)くなり。本日、満月、明らかなり。

 「立ちぎれ線香」は「たちきれ」「たちきり」とも表記される。大阪・船場の大店の若旦那が若い芸妓(げいこ)の小糸と恋に落ちる。毎日のように小糸の元に通う若旦那を案じた番頭の策略で100日間、蔵に閉じ込められ、幽閉が解けた若旦那はまっすぐ小糸の元に向かうが、恋患いの末、小糸は落命していた。仏壇に若旦那が贈った三味線を供え、線香をともすと、三味線がひとりでに鳴り始める――。

 口演すると40分以上。米朝自身、「上方落語中でも屈指の大ネタで、これは古来、偶像視されてきたはなしです」(「米朝落語全集」)と書いている。