>>411
ロシアがウクライナ東部を「解放している」とする主張は、ロシア国内の選挙制度の実態と、過去の住民投票の経緯を踏まえると説得力を欠く。

ロシアでは選挙管理が政権の影響下にあり、野党候補の排除や投票結果の不透明さが常態化している。国際監視団の受け入れも拒否しており、選挙の公正性は担保されていない。こうした体制下で行われる「住民投票」は、民主的な意思表示とは言えず、政権の意図を反映した政治的演出に過ぎない。

2014年のクリミア編入時には、親露派武装勢力の指導者ギルキン(ストレルコフ)が「軍の圧力で住民投票を行わせた」と後に認めている。つまり、住民の自由意思による投票ではなく、事実上の脅迫によるものだった。ロシアが「住民の意思」を根拠に領土を主張する構図は、過去の事例からしても信頼性がない。

また、ウクライナからの攻撃を理由にした軍事介入は、国際法上の主権侵害であり、武力による領土変更は国連憲章に反する。ロシア軍が一部地域に侵入して旗を掲げる行為も、実効支配とは言えない。

選挙制度の信頼性がない国が、軍事的圧力の下で行われた投票を根拠に領土を主張するのは、論理的に破綻している。冷静に見れば、これは単なる既成事実化のためのプロパガンダである。