>>922-925
結局のところ、いま目に見える世界秩序や対立軸が永続・普遍だという思い込みに縛られているから、論理も結論もちぐはぐになっているだけだな。
核心は「覇権国の力が鈍った局面で周辺がどう再編されるか」という視点。
大国の影響が弱まれば、地域は自助と再編成へ傾くというのは歴史の教科書を開けば何度でも確認できることだ。

NATOそのものが英・仏・独という長年の宿敵同士の結合であって、上位の脅威や利得が更新されれば、過去の対立は凍結され得るという証拠。
サウジアラビアとイランの雪解けも、資源と安全保障の利害が重なった帰結。
さらに、公海と空の安全を単独で引き受ける「保険者」が疲弊すれば防空・掃海・護送といった「保険料」の地域割りが現実解となり教派や民族対立よりも、航路・資金決済・防空の安定という実利が前面に出る。

つまるところ、「無理か可能か」の二分ではない。
覇権国の疲労がどこまで進み地域がどれほど自助を強いられるか。
印パや湾岸の現状の不和をいくら並べても上位の力が変調を続けるなら周辺は実利にもとづく再編成へ押し出されるのが必然。
付け加えれば印パや中東諸国といった現行の国境線の枠組み自体、欧米の植民地統治に由来する部分が大きい。

逆に、覇権国の疲労が進まず周辺の自立も進まないと見る根拠は何か?
そこを示さずに「今は不和だから将来も無理」と断ずるのはあまりにも浅い。