クピャンスク情勢
ロシア国防省は「市の半分を制圧した」と公式に映像を出して、行政施設や市街地に兵士が展開している様子を流している。ただ、ウクライナ側は「演出されたプロパガンダ」と完全否定。映像の真偽をめぐって情報戦の様相。

第三者のOSINTやWikipediaの更新では、依然として「Contested(争点地域)」扱いで、どちらかが完全に掌握した状態ではない。つまり「落ちた」と断言する段階ではない。

戦術面では、ロシア軍はオスキル川西岸に橋頭堡を築き、東岸の市街区へ圧力をかけ続けている。補給線を断つ動きや偵察部隊の浸透は確認されているが、大規模な市街戦や全域制圧はまだ未確認。
一方で、ウクライナ軍は市内のインフラを維持しつつ防衛態勢を継続していて、退却の公式発表や確認は出ていない。住民の避難や一部の犠牲者は報告されているが、守備部隊自体はまだ持ちこたえている。

ここまでの構図をまとめると、ロシア側の「半分制圧」アピールに対して、ウクライナ側は「まだ粘ってる」と反論。実際のところは、前線が市のすぐ外縁に迫っていて、両軍が川を挟んで膠着しているのが現状っぽい。
市の東岸のウクライナ軍が退却を選ぶ可能性はあるけど、まだルートは残っているので完全包囲ではない。逆に言えば、このまま圧力が強まれば撤退に追い込まれる展開もあり得る。

クピャンスクは「落ちた」わけではないが、前線がほぼ市内に食い込んでいて非常に危うい段階。ロシアの発表を鵜呑みにするのも、ウクライナの「否定」をそのまま信じるのも危うい。実態はまだ攻防の最中。