富野:
映画にはそのカプローニと夢のなかで出会うシーンがあって、
「家族みんなを連れて、好きなところに旅に出かけられたらいいね。
君もそんな飛行機を作りなさい」と言われる。
それで彼は「頑張ります! 僕も美しい飛行機を作ります!」と答えるんだけど、
最後にもう一度カプローニに会う。堀越の“飛行機を作る”という夢は確かに実現した。
「でも、僕が作ったあれは、一機も戻ってきませんでした」と彼は声を振り絞るんです。
その瞬間、頭上をバーっとゼロ戦の大群が飛んでいって終わる……。
(感極まって)もう本当に僕は、この物語を話しているだけで駄目なんですよ。悲しくて。
宮崎監督はゼロ戦の功罪、そして技術者の功罪というのをしっかり描いているんです。
僕は『風立ちぬ』を見て初めて、「単なるメカオタクじゃなかったんだな」ってわかりました。
あるところで今回の制作スタンスを明言していたのですが、「軍事オタクからゼロ戦を取り戻す」
という意思で作ったそうです。ネットなどでは「今さら何を言っているんだ」と叩かれていると思いますよ。
でも、そのぐらい好きで、メカのことをわかっていないと、人と道具の関係性なんて正確に描けないです。

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そのゼロ戦の絵が下手っぴでなあ。たぶん宮崎駿はゼロ戦やF-15みたいな近代的な線の戦闘機は嫌いなんだと思う