「humanitarian aidと書いてあるからロシアの軍事介入も合法」って主張は、条文の文脈を完全に無視してる。ミンスク合意(2014年議定書+2015年ミンスク2)の中でhumanitarian aidという表現が使われてるのは、ドンバス地域の人道状況改善に関する項目であって、武力行使の根拠じゃない。具体的には「ドンバスにおける人道状況を改善させる手段を講じること」と書かれていて、これは食料・医療・避難支援などの非軍事的支援を意味する。国際法上、humanitarian aidは軍事介入とは区別される概念。

しかもこの条文は、ウクライナ政府が主導する国内措置として記載されていて、ロシアが勝手に軍事介入する根拠にはならない。ロシアが「義勇兵」や「人道支援部隊」と称して武装勢力を送り込んだのは、合意違反であり、国連もOSCEも「ロシアの行動はミンスク合意の履行を妨げている」と明言してる。humanitarian aidの文言を“ジョーカー”扱いして軍事行動を正当化するのは、条約解釈の基本(ウィーン条約第31条)にも反する。

さらに、ロシアは2022年にドネツク・ルガンスクの独立を承認して、ミンスク合意の前提そのものを破棄してる。国連総会決議ではロシアの侵攻を「国連憲章違反」と明記し、141カ国が非難。グテーレス事務総長も「ロシアの行動は国連憲章に違反している」と明言してる。つまり、humanitarian aidの一語を拡大解釈して侵略を正当化するのは、国際法の世界では通用しない。