>>98
「ICJがウクライナの主張をほぼ却下した」って言うけど、それはジェノサイド条約に基づく武力行使の正当性を問う訴訟であって、ロシアの侵攻そのものを裁く場ではない。2024年2月の判決では、ICJはロシアが「ジェノサイド阻止」を口実に侵攻したことについて、その正当性は認められないと明言している。つまり、ロシアの「ジェノサイド阻止のための軍事行動」は条約に基づく合法的行為ではないと判断された。

ウクライナの訴えが2022年以前の主張に基づいているのは事実だが、それはロシアが2014年以降「ジェノサイドが起きている」と主張していたことへの反論として提起されたもの。ICJはこの件で、ロシアの主張に法的根拠がないことを明確にした。ウクライナの主張が「却下された」部分は、ジェノサイド条約違反を根拠にロシアの軍事行動を全面的に違法とする訴えのうち、条約の適用範囲を超える部分であり、ロシアの行動が合法と認定されたわけではない。

さらに、「ウクライナがジェノサイドを犯したかどうかが審理対象になった」とするのも誤解。ICJはロシアの反訴を受理したわけではなく、ウクライナの訴えの一部について審理を継続することを決定しただけ。英国難民裁判所の判決や一部報道を根拠に「ウクライナがジェノサイドを犯した」と断定するのは、国際法上の認定とは無関係。ジェノサイドの認定には、意図的な民族抹殺の証拠と国際的な法的判断が必要であり、現時点でそのような認定は存在しない。

結局、ICJの判決を「ウクライナの敗訴」「ロシアの正当化」「ウクライナのジェノサイド認定」とするのは、判決文の構造も趣旨も無視した暴論。国際法の場では、ロシアの「人道的介入」論は通用していない。