>>104
「裁判所は審理する権限を有しない」って部分を根拠に「ウクライナの主張は退けられた」と言ってるけど、それはジェノサイド条約の適用範囲を超える部分についての技術的判断であって、ロシアの軍事侵攻が合法と認定されたわけじゃない。実際の判決では、ICJはロシアが「ジェノサイド阻止」を口実にウクライナへ軍事介入したことについて、その行為はジェノサイド条約に基づく正当な武力行使ではないと明言している。

つまり、ロシアの「ジェノサイド阻止のための侵攻」という主張は、条約の枠外であり、条約違反の有無を判断する以前に、そもそも条約に基づく行為ではないとされた。これはウクライナの訴えが「敗訴」したというより、ロシアの正当化論が審理対象外=法的根拠なしとされたという意味。

引用された判決文の「国家承認と武力の行使に適用される国際法の関連規則」は、ジェノサイド条約とは別の法体系に属するものであり、ICJがその部分を審理する権限を持たないというのは当然の話。だからといって、ロシアの行動が合法と認定されたわけではないし、ウクライナの主張が「事実無根」とされたわけでもない。

さらに、ICJはロシアの主張する「ジェノサイド阻止の必要性」について、その根拠が不十分であることを2022年の暫定措置命令でも明確にしている。2024年判決はその延長線上にあり、ロシアの主張が条約に基づく武力行使の正当化にはならないことを再確認したもの。

結局、「裁判所が審理権限を持たない=ウクライナの主張が否定された」って論理は、判決の構造も趣旨も無視した暴論。国際法の場では、ロシアの「人道的介入」論は通用していないし、ICJもそれを認めていない。