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「ロシアの派兵理由は集団的自衛権で、ICJがそれを認めた」って主張は、判決の構造と国際法の基本を誤解してる。2024年2月2日のICJ判決は、ロシアが「ジェノサイド阻止」を口実に侵攻したことについて、その行為はジェノサイド条約に基づく正当な武力行使ではないと明言している。つまり、ロシアの「ジェノサイド阻止のための侵攻」という主張は、条約の枠外=法的根拠なしとされた。

判決文では「ロシアが違反したのはジェノサイド条約ではなく、国家承認と武力行使に関する国際法の規則である」と明記されており、ICJは「これらの問題はジェノサイド条約の規定に該当せず、審理権限を有しない」と判断した。これは、ロシアの軍事行動がジェノサイド条約に基づくものではないことを示しているだけで、国連憲章第51条に基づく集団的自衛権の正当性を認めたわけではない。

そもそも国連憲章第51条の「集団的自衛権」は、武力攻撃が発生した場合に限って認められる。ドンバスの分離地域(DPR・LPR)は国際的に承認された国家ではなく、ロシアが一方的に承認しただけ。国際法上、未承認の非国家主体との集団的自衛権の行使は認められていない。ICJもこの点については審理対象外とし、判断を留保している。

また、ロシアが提出した「5万ページの資料」については、現在審査中であり、ウクライナがジェノサイドを行ったと認定された事実は一切存在しない。ICJはウクライナの主張の一部について審理権限を認めており、ロシアのジェノサイド主張が虚偽であることを証明する場として機能している。暫定措置命令も引き続き有効であり、ロシアに対して「ウクライナにおける軍事行動を即時停止するよう命令」している。

結局、「ICJがロシアの集団的自衛権を認めた」「ウクライナのジェノサイドが審査中だから怪しい」って主張は、判決文の構造も国際法の原則も無視した暴論。現時点でロシアの侵攻は国連憲章第2条4項に違反する武力行使と評価され続けている。