>>70
「ウクライナが軍事行動はジェノサイドと定義した」って主張は、事実誤認。ウクライナは2022年にロシアの侵攻を「ジェノサイド条約違反」としてICJに提訴したが、それはロシアの行為に対する評価であって、自国の軍事行動をジェノサイドと認めたわけではない。提訴の論理を逆適用して「自国の行動もジェノサイドと認めた」とするのは、論理のすり替えでしかない。しかもICJは2023年に「ロシアのジェノサイド主張には根拠がない」と暫定判断を下している。

国連総会決議の棄権が増えたのは、戦争長期化による政治的疲弊や中立国の増加によるもので、ロシアの行動が「国際的に承認された」わけではない。2022年の決議では141カ国がロシアの侵略を非難しており、国際的な評価は明確。棄権は「承認」ではなく「不関与」や「中立」の意思表示であり、合法性の証明にはならない。

安保理の拒否権についても誤解がある。「全会一致の暗黙のルール」なんて制度上存在しない。拒否権は常任理事国が単独で行使できる制度であり、実際にロシアは他国が賛成した決議に対して拒否権を行使した例が複数ある。たとえば2018年のシリア化学兵器調査に関する決議では、米英仏が賛成したにもかかわらずロシアが拒否権を使って否決している。つまり「ロシアの拒否権のせいで採択できない」は制度的にも事実的にも正しい。

「黙認と合法性が異なるなら差異の証明が必要」って主張も詭弁。国際法では、黙認は必ずしも合法性を意味しない。たとえば中国の南シナ海埋め立てに対して国際社会が明確な制裁を行っていないが、それが合法と認定されたわけではない。国連がロシアの自衛権を認めたという事実も存在しない。ロシアは「自衛権」を主張したが、国連事務総長も総会も「国連憲章違反」と明言しており、国際的には自衛権の要件(武力攻撃の発生)を満たしていないと判断されている。

結局、制度誤認と論理のすり替えを積み上げても、ロシアの侵攻が国際法上違法であるという評価は覆らない。