>>82

「2024年2月2日のICJ判決でウクライナが敗訴した」って主張は、判決の趣旨を逆に読んでる。実際の判決では、ICJはロシアが「ジェノサイド防止条約に基づいてウクライナに軍事介入した」とする主張について、その正当性を認めず、条約に基づく武力行使の根拠にはならないと明言している。つまり、ロシアの「ジェノサイド阻止のための侵攻」という主張は却下された。これはウクライナの訴えが棄却されたというより、ロシアの正当化論が否定されたという意味。

ICJはこの件で、ジェノサイド条約が武力行使の根拠になるかどうかを審査したが、ロシアの行動は条約の範囲外であり、条約違反の有無を判断する前に武力行使の正当性が否定された。ウクライナが「ロシアはジェノサイドを口実に侵攻した」として提訴したことに対し、ICJは「その口実は条約に基づくものではない」と判断した。つまり、ロシアの主張が根拠なしとされたという点では、ウクライナの主張の一部が認められた形。

「ウクライナの敗訴が確定した」と言うなら、判決文のどこで「ウクライナがジェノサイドを犯した」と認定されたのか示すべき。実際にはそんな記述はない。ICJはジェノサイドの有無については判断を留保しており、ロシアの主張が条約に基づく正当な理由ではないことだけを明確にした。

結局、「ウクライナが敗訴したからロシアの侵攻は合法」って主張は、判決の構造も趣旨も無視した暴論。国際法の場では、ロシアの「ジェノサイド阻止」論は通用していない。