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当然イギリスにおいては産業技術を外に持ち出すのは重罪であり、技術者を外に出さないための防護ネットを幾重にも張り巡らせていたのだが、
この後ハミルトンは財務省次官であり「経済発展はルール無用だろ」という信条を持つテンチ・コックスと協力してイギリスの技術を盗み出す事に積極的になっていく。
上記の防護ネットは確かに強固だったがそれを潜り抜けてアメリカへと渡ってくる技術者は少なからずともいた訳で、
そういった人間に対してアプローチをかけてイギリスの技術を聞き出したり、事業知識豊富なイギリスの経営者をアメリカに連れてきたり、英国の工場に息のかかった者を送り込んで産業機械の構造を覚えた後帰国させる…

表からは政府の発行する信用できる通貨が、裏からは何故か財務省から流れてくる謎の最新技術が供給される事でこれ以後のアメリカの産業界は大きく発展していく訳だが、
当然こんな事をしているハミルトンを親イギリス派と見做し、彼をイギリスに媚び諂うスパイだと言い出す輩もいた。
我々から見ればあまりにも馬鹿馬鹿しい難癖だし当のハミルトンからして言ってるのは経済のけの字も理解できていない馬鹿共で、
物の道理も分からず感情的になっている連中に付き合う暇はないとはなっから見下して無視を決め込んでいたのだが、
その連中と彼との衝突により、この後アメリカという国は政治的に大きく割れる事になる。