2025年10月12日時点のロシア軍損失は、人員約112万2810人、前日比+1240。戦車1両、砲兵10門、多連装ロケット1門、無人機244機、車両87台、特殊装備3台の増加。

装甲車両や航空機に動きはなく、全体として戦線の構造は前日と同様に静的消耗戦の様相を保っている。

人員損失が前日の+1060から+1240へと増加した点は、局地的な地上戦が一段と激化している兆候であり、特にドネツク州南西部やルハンシク西部での歩兵突撃が増えているとみられる。

砲兵システム+10は引き続きカウンターバッテリー戦の継続を示すが、増加幅が前日より小さいため、一時的に火砲集中が緩んだ可能性がある。

一方で無人機損失+244という大幅な増加は、ここ48時間で最も顕著な変化であり、ロシア軍が前線偵察や誘導攻撃のためにドローン運用を急拡大していることを示唆する。
これは、キーウやハルキウへの空襲だけでなく、前線付近での電子戦・対砲兵戦を支えるための運用拡大とみられる。

巡航ミサイルの発射がゼロであった点も注目で、ロシアはミサイル備蓄を温存し、無人機中心の低コスト攻撃に切り替えていると考えられる。

航空機・ヘリの損失ゼロは前線上空の制空が依然として閉鎖的であることを示し、双方の防空網が強固なまま膠着状態にある。


車両損失+87は補給線への攻撃が継続しており、ウクライナの長射程砲や自爆型ドローンが後方集積地を狙っている。

特殊装備+3は電子戦車両や架橋装備など支援用車両の被害とみられ、ロシア側の後方インフラにも攻撃が及んでいる可能性がある。


総じて、この日の損耗傾向は「歩兵突撃の増加」「無人機の大量投入」「ミサイル攻撃の小休止」という三つの特徴に集約される。すなわち、ロシアは火力消耗を避けつつ、ドローンを使って敵陣地を把握・飽和攻撃しようとする段階に移行しており、ウクライナ側はこれを防衛線で食い止めながら後方補給への反撃を継続している。戦車や航空戦力の変動が止まり、無人機と人員損耗が主指標となっていることから、戦争はもはや「技術化された歩兵戦」へと変質。双方とも決定的突破には至らず、10月中旬の前線は完全に持久・消耗フェーズに入ったと分析できる。