2025年10月13日時点、ウクライナ参謀本部によるロシア軍の推定損失は、人員約112万3950人(前日比+1140)、戦車1万1251両(+3)、砲兵システム3万3559門(+21)、無人機6万9242機(+232)などとなった。
増加傾向は継続しているが、前日の+1240人からやや鈍化しており、前線の膠着を反映している。

地上戦では戦車や装甲車の損失がほぼ横ばいで、ロシア軍が大規模突撃を控え、砲撃と無人機に依存した「火力押し」戦術に移行している様子がうかがえる。
特に無人機の喪失増は顕著で、シャヘド型・ランセット型による飽和攻撃が続いていることを示唆する。

ハリコフ州やドンバス西部で、弾薬庫・補給線への攻撃が活発化しており、ロシア側は人員損耗を補う形で無人機を大量投入しているとみられる。

砲兵システムの損失増も顕著で、ポクロウスク方面ではウクライナ軍の反撃砲撃が一定の成果を上げている可能性が高い。

一方、車両・燃料タンクの損失(+109)は、ウクライナが長距離火力を使い補給線を狙っている兆候と一致する

ロシア軍は包囲完成を宣伝しているが、衛星画像や独立OSINTでは西方補給路の遮断は確認されていない。実際には「半包囲的圧力」を情報戦として利用している段階で、戦果誇張の側面が強い。

人的損耗が連日1000人超で推移する状況は、攻勢を維持するには持続不可能であり、戦術的成果に比して消耗が大きい。加えて10月中旬から泥濘期(ラスプティツァ)に入り、地上突撃が難しくなっている。

戦車損失が減少したのも、天候と機動制約が背景とみられる。

結果として、戦線は膠着したまま高消耗状態が続き、ロシア側は砲兵と無人機による圧力戦に頼る構図となっている。火力の集中で包囲を演出しているが、実際の戦況は依然として局地的な消耗戦の域を出ていない。