2025年10月15日付のウクライナ参謀本部発表によると、ロシア軍の累計損失は人員約112万6220人、戦車1万1259両、砲兵3万3671門に達した。前日比では人員+1070、戦車+3、砲兵+43、無人機+389、車両+141。

人的損耗は依然として1000人規模で推移しており、東部ドネツク州ポクロウスク周辺とハルキウ州クピャンスク方面での市街戦が主な要因と見られる。

注目すべきは砲兵システムの損失が前日+29から+43へと増加している点で、砲撃戦の激化を示している。ロシア軍は地上突撃よりも火力集中による圧迫を重視し、ウクライナ側の反撃砲撃も活発化している。双方が長距離砲と無人機で互いの陣地を叩く「砲兵の殴り合い」が続いており、特にポクロウスク包囲線とクピャンスク郊外では高密度の砲戦が続く。

戦車と装甲車の損失が小幅にとどまるのは、泥濘期により装甲部隊の機動が制限されているためで、現段階では両軍とも砲兵と無人機による消耗戦に移行している。

無人機損失は+389と依然高水準で、シャヘド型やランセット型の自爆ドローンを含めた夜間攻撃が頻発。ウクライナ側の防空迎撃によって多数が撃墜されたとみられる。

車両・燃料タンクの損失+141も目立ち、HIMARSなどによる後方補給線への攻撃が継続している。補給線の遮断は砲弾輸送と燃料供給に影響し、ロシア側の火力維持を難しくしている。

人的損耗が1000人規模で安定しているのは膠着戦の兆候で、戦線の位置は大きく動かず、両軍とも砲兵・無人機の損耗で消耗している。

ロシア軍は前線突破を狙うよりも、圧力を維持してウクライナ側の兵力を削る戦術を取っていると見られる。結果として戦線は静的な消耗段階に入り、人的・砲兵・無人機の損失が累積する構造が定着している。

全体として、戦況は依然としてロシア側の局地攻勢とウクライナ側の防御が拮抗する形で推移しており、突破や陥落といった決定的変化は確認されていない。