>>975
電話やアンケート調査が国際的に標準化されているのは「手軽だから」ではなく、統計学的に誤差と偏りを最小化できるからだ。国連、OECD、ピューリサーチセンターなど主要機関はすべてCATI(電話インタビュー)やオンライン調査を採用しており、質問票・抽出方法・誤差率を公開することで再現性を担保している。調査員の主観を排除するため、回答は匿名・記録化され、第三者が検証できる。つまり「やらせ」ではなく、透明性で信頼を得ている手法だ。

一方で、ロシアが実施した“住民投票”はこの逆だ。投票所には武装兵が立ち会い、選挙管理委員会や国際監視団は存在しない。投票箱の開票過程も非公開で、反対票を投じた人が報復を恐れて逃げた事例も報告されている。形式的に「投票」が行われても、自由意思が存在しなければ統計的には無効とされる。これは国連やOSCEが一貫して認めていない理由でもある。

また、アメリカの世論調査と実際の選挙結果のズレは、隠れ支持層や投票制度の違いによる誤差であり、データの捏造ではない。むしろ、どの調査も方法論を公開し、誤差の範囲を明示している。ロシア側の“投票”や“街頭インタビュー”は質問文も母集団も非公開で、検証不能だ。

本質は「形式の違い」ではなく「透明性」と「検証可能性」にある。自由な報道とデータ公開を前提にした世論調査のほうが、武力支配下で監視付きに行われる投票よりも、はるかに科学的で信頼に足る。