>>989
まず、国際的な世論調査に「再現性がない」という主張は誤りだ。主要な機関――ギャラップ、ピューリサーチ、ユーロバロメーターなどは、質問文・抽出方法・誤差率を公開し、同条件での再調査を定期的に実施している。結果は平均±3%の誤差範囲に収まり、学術的にも統計的信頼性が確認されている。電話やオンライン調査は、回答者を無作為化し、匿名で記録を残すことで、恣意的な操作を防ぐ設計がなされている。つまり「技術的に不完全」というより、透明性と検証可能性によって信頼性を確保する方法である。

一方で、ロシア側が行った「住民投票に国際監視団がいた」という主張は事実に反する。国際的に認定された監視団(OSCEやEUなど)は派遣されておらず、現地にいたのはロシアが招いた親露活動家や友好国関係者で、監視の資格を持たない人物だった。投票の自由も保証されず、武装兵の同行、投票箱の持ち回り、反対票を投じた住民への威圧が人権団体の報告で確認されている。

また、「自由な取材が可能」との指摘も根拠がない。BBCやAFP、ロイターなどの記者は取材を拒否・拘束されており、報道許可はロシア国防省や「ドネツク人民共和国情報省」を通す必要があった。発表内容は事前検閲を受け、独立取材は事実上不可能だった。

要するに、自由社会の世論調査が「公開・検証・誤差を明示」するのに対し、ロシアの手法は「非公開・恣意的・検証不能」である。形式よりも透明性こそが信頼性を決める核心であり、どちらが科学的かは明白である。