>>340
「ロシアもウクライナもソ連共産党ではないから、北朝鮮や中国とは質的に違う」というのは、形式上の制度だけを見た誤解に近い。確かにロシアは共産党の一党独裁ではないが、現実には政党登録、報道、司法、選挙管理のすべてがクレムリンに従属しており、実質的に政権交代が起こらない構造になっている。いわゆる「選挙を装った権威主義国家」であり、北朝鮮型の全体主義より洗練されている分、むしろ支配は長期化しやすい。

ロシアの勢力圏に入った国々の事例を見れば分かる。ベラルーシ、シリア、カザフスタン、マリ、ニジェールなど、いずれも親露化の後に報道統制や反体制派の拘束が進み、治安維持名目でロシア軍や民間軍事会社が常駐する体制になった。これらの国では「形式上の選挙」は行われるが、反ロシア候補の立候補そのものが不可能で、選挙結果を通じて西側に戻った例は一つもない。要するに、親露化とは主権の一部をモスクワに委ねることを意味し、そこからの「自由選挙による回帰」は制度的に封じられている。

また、現代ロシアは共産主義ではないが、権力構造は旧ソ連と驚くほど似通っている。政治エリートと治安機構(FSB、国防省など)が国家資本を握り、情報・司法・外交を統制する点では、党支配が企業支配に置き換わっただけの違いだ。思想の自由や表現の自由は法的には存在しても、実際には批判報道や反戦発言は逮捕対象になる。

したがって、「親露になっても民主的に戻れる」という見方は歴史的にも制度的にも根拠がない。ロシア型の権威主義は、共産主義のイデオロギーではなく、支配構造そのものが問題の核心にある。自由選挙で政権を変えられないという点で、北朝鮮や中国と同列に語ることは決して誇張ではない。
一度親露化すれば、西側的な自由と多元性は確実に失われる。それが現実だ。