>>32
ロシア勢力圏で「ご機嫌を取るか抵抗するか」で生活が変わるという考え方には実証的裏付けが乏しい。実際にロシアやその影響下にある地域では、協調しても抵抗しても生活の質や自由度に大差がない構造が続いている。例えば北朝鮮では監視・情報統制・強制労働が強化され、国民が自由に職業や居住を選ぶ権利すら制限されている。経済の自由もなく、国外労働で外貨を稼いでも国家に吸い上げられる構図だ。ロシアの極東や少数民族地域も似た状況で、中央からの統制が強く、自治権は形式的にしか存在しない。サハリンやアムール川流域のニヴフ族、シベリアのハンティ族などでは、資源開発による環境破壊や貧困が進み、文化と言語の喪失が深刻化している。国際機関の報告でも、こうした地域には自由な合意や土地権の保障がなく、生活の選択肢が著しく限られているとされる。

中央アジア諸国も同様で、ロシアの影響下にありながら経済発展や生活改善は限定的だ。ソ連崩壊後、1人あたりGDPは長期停滞し、資源依存から脱却できていない。ロシア語や文化の影響は残るが、政治的・経済的主導権はモスクワが握るままで、地域住民の生活が豊かになったわけではない。ロシアとの関係を保っても、社会保障や雇用の安定が保証されるわけではなく、むしろ若者の出稼ぎ依存が深刻化している。

つまりロシア圏の黄色人種や少数民族にとっては、ご機嫌を取ろうが抵抗しようが、豊かさや自由が増えることはない。北朝鮮、シベリアの先住民族、中央アジア諸国の実態はいずれも共通しており、権力と資源が中央に集中し、周縁地域は低所得・高圧的統治に置かれている。結局のところ、ロシアの庇護や同盟に入っても「五十歩百歩の暮らし」にしかならない。自由・経済的安定・安全な社会を維持したいなら、権威主義圏ではなく、制度的に検証可能な社会と結びつく方が合理的だ。