ここ48時間のクピャンスク方面は、線形に目立った変化はなく、依然として林帯・補給路をめぐる局地戦が続いている。ウクライナ側はドローン部隊と少数機動部隊を用いて、クピャンスク西方やオスキル川流域の森林地帯で小規模な反撃を繰り返している。The Timesなどの報道では、国家警備隊第15旅団のドローン部隊がロシア兵の移動部隊を狙撃・撃破した例が紹介されており、偵察・狙撃・無人機を組み合わせた攻撃が中心となっている。ロシア側はこれに対抗して、橋梁や林間道路への砲撃・無人機攻撃を強化し、オスキル川を越える補給路の遮断を狙っている。クピャンスク周辺の40集落には避難勧告が出され、砲撃の頻度が増加していることが確認されている。戦闘の焦点は都市中心部ではなく、補給線と林帯の維持に移っており、双方とも損耗を抑えながら持久戦に移行している状況だ。

DeepStateMapの履歴を見ると、モスコフカやラドキフカ付近でごく小規模な緑塗り(奪還)や赤塗り(支配維持)の変化が確認されたが、数時間~数日で再び塗り替えられており、前線の固定化には至っていない。R-79道路の突破やホルビフカ郊外への進撃といった規模の線形変化は地図上で確認されておらず、戦果とされる投稿の多くは局地的な一時占有にとどまると見られる。ISWの日次報告も「ロシア軍が圧力を維持し、林帯での浸透と反浸透が交互に発生」と述べるのみで、ウクライナ側の大規模反撃や線形数キロの前進には言及していない。DeepStateとISWを突き合わせる限り、現時点で戦局を左右するような前線変動は確認できず、状況は膠着している。

総じて、ここ数日のクピャンスク戦線は「決定的戦果のない高密度消耗戦」と言える。両軍とも歩兵と砲兵の損耗を抑えながら、ドローンと砲撃を主力に補給線の破壊を狙う形に変化している。オスキル川西岸では依然ロシア側が優勢な火力を維持しているが、地形の複雑さと無人機の高密度運用により、大規模攻勢は難しい。ウクライナ側は局地反撃を繰り返し、ロシア軍補給を撹乱しているが、反攻が持続的に成功した例は確認されていない。航空戦はほぼ沈静化し、空中戦よりも長距離砲撃と無人機攻撃が中心となっている。クピャンスク方面の戦況は、戦線が動かないまま双方の損耗だけが積み重なる典型的な膠着局面にある。両軍とも補給・人員の限界が近づいており、冬季を前にした消耗の蓄積が次の展開を左右する段階に入っている。