ポクロフスクやミルノフラードが包囲されたかどうかという話題は、現地の地図や映像で確認されるまで結論を出すべきではない。プーチンに報告されたという一点で「事実」と断定するのは、政治的演出を含むロシア側の発表構造を理解していない議論である。

これまでもロシア国防省は、戦果を誇張した報告を繰り返してきた。アウディーイウカやマリンカの例でも、公式発表後に戦況が修正されることは珍しくなかった。現在もDeepStateMapやISWの戦況図では、ポクロフスク西側での戦闘継続が確認されており、完全な包囲線は形成されていない。衛星データや火点情報を見ても、まだ攻勢の途中段階とみるのが妥当だ。

そもそもが日本の立場からすれば、このような戦況の細部で右往左往する必要はない。日本が取るべき姿勢は最初から一貫している。すなわち、ロシアの一方的な侵略を非難し、国際法秩序の側に立つことだ。ウクライナ支援を継続するのは道義的な問題だけではない。もし武力による国境変更を認めれば、国際社会の抑止力が崩壊し、台湾・尖閣・北方領土など日本自身の安全保障にも悪影響が及ぶ。戦況がどちらに傾いていようと、この原則を崩す理由は存在しない。

つまり、ポクロフスクの包囲が事実かどうかは、日本の政策判断に関係がない。重要なのは、侵略を容認しないという一線を守り続けることだ。日本にとって最も合理的で現実的な選択肢は、ロシア非難とウクライナ支援を一貫して続けることにある。