ここ48時間の戦況について、公開情報を淡々とまとめる。 焦点は引き続き東部ドネツク州のポクロフスク周辺と、首都キーウなど後方への攻撃となっている。

まず後方への攻撃について。 10月26日未明、首都キーウに対しロシア軍による自爆型無人機攻撃が実施された。ウクルインフォルム通信などによれば、この攻撃で民間人3名が死亡、負傷者は33名(うち児童3名)に上ると報告されている。AFPBB Newsも、ドローンの破片落下により9階建ての集合住宅が一部損壊したと伝えている。

また、10月25日にもキーウ、ハルキウ州、ドニプロペトロウシク州などでエネルギー施設や炭鉱を狙った攻撃があり、ウクライナ全土で8名の死亡が報じられた。炭鉱では当時約500名が坑内にいたが、全員無事だった模様。 このように、前線とは別に後方インフラや都市部への攻撃が継続している。

次に、最大の焦点である東部前線、特にポクロフスク方面の状況。 「戦争研究所(ISW)」の10月26日付の分析によると、ポクロフスク周辺の状況は依然として困難であると評価されている。

ロシア軍は、保有する量的な優位性を背景に、小グループによる浸透作戦を継続している。 ウクライナ軍参謀本部の10月26日の報告によれば、約200人のロシア兵がポクロフスク市内で活動しているとされ、ウクライナ軍はこれらの部隊のさらなる進出を阻止し、掃討するための作戦を遂行中だとしている。

ISWの評価では、ロシア軍はポクロフスク本体、およびその東に隣接するミルノグラードの近郊・市内において、「戦術的に重要な進撃」を遂げていると認定されている。 戦線の状況については、両軍の陣地が複雑に入り組んでおり、明確な前線が形成されていない地域もある模様だ。
ただし、ISWはこれらのロシア軍の進展を重要としながらも、「現時点でウクライナ軍の防衛線が差し迫って崩壊する兆候ではない」とも分析している。

ISWの最新の分析傾向としては、ロシア軍は東部や北部で継続的な攻勢をかけているものの、戦局が短期間で劇的に変わる確証はなく、「慢性的な消耗戦」が続いていると見ているようだ。 また、ロシアの目標が占領地域の拡大だけでなく、後方のエネルギー・交通インフラを標的にし、ウクライナおよび西側諸国を長期的に疲弊させることに重点が移りつつある可能性も指摘されている。