この戦争の情勢判断についてだが、日本人の立場としては、米国のシンクタンクであるISW(戦争研究所)の毎日の報告をゆったりと追っていくのが一つの合理的な方法ではないかと思う。ISWの分析はOSINT(公開情報)に基づいており、位置情報付きの映像や双方の発表内容を根拠として明示しているため、透明性が高い。各戦線の詳細な動きや戦術的な意図について専門的な考察も含まれており、戦況を把握する軸としては信頼できる情報源の一つだろう。

一方で、ロシアの公式情報源(国営メディアや政府発表)については、その信頼性や中立性に重大な懸念が示されており、情報源としては論外と考えるのが妥当だ。これらはクレムリンの強力な統制下にあり、西側諸国からはプロパガンダや偽情報の発信源として国際的に広く指摘されている。

そもそも、この紛争は極めて激しい情報戦の側面を持っている。一番避けるべきは、こうしたロシア側のプロパガンダにかく乱されることだろう。

どのような情報源であれ、未確定な情報(特に戦況の局地的な勝敗や双方の内部事情に関する憶測)に一喜一憂したり、踊らされたりする必要はない。

日本の国益を考えれば、「力による一方的な現状変更」を認めないという原則に基づき、現在の「ウクライナ支援・ロシア非難」という外交姿勢を継続することが最良の選択であることに変わりはない。

したがって、我々としては、未確定な情報は未確定なものとして扱い、変な推測はせず、ISWのような比較的信頼性の高い情報を冷静に参照しながら、淡々と日本政府の公式な立場(国際秩序の維持)を支持していく。これこそが日本の国益にかなう冷静な態度であろう。