日本が掲げる「ロシア糾弾+ウクライナ支援」の方針を修正する必要は、現時点でまったく存在しない。むしろこの方針は、日本の国益・安全保障・国際的信頼のいずれの側面から見ても合理的に裏付けられており、維持こそが最も現実的である。

第一に、ロシアのウクライナ侵攻は国際法の根幹を揺るがす行為だ。日本は憲法と国連憲章を基盤に「武力による現状変更を許さない」原則を掲げてきた。もしここでロシアを擁護すれば、同じ論理で中国や北朝鮮による力の行使を正当化することになる。これは日本の安全保障上、自ら墓穴を掘るに等しい。日本がロシアを非難するのは「西側追随」ではなく、法と抑止の観点から見て当然の選択である。

第二に、日本経済は欧米市場との連携を軸に成り立っている。エネルギーや半導体を含む国際サプライチェーンの中心にあるのは自由主義圏であり、ロシアのような制裁対象国と歩調を合わせることは、企業・金融の信頼を自ら損なう行為になる。日本がウクライナ支援を継続することで、G7・NATOとの政策整合性を保ち、復興支援やインフラ整備などの分野で経済的利益を得ることも可能になる。理想論ではなく、冷静な国益計算の結果である。

第三に、外交的にもこの姿勢は一貫している。北方領土交渉を有利に進めるには、ロシアの力任せの行動に妥協しない姿勢を示すことが必要だ。妥協すれば交渉の正当性そのものを失う。国民世論もおおむねロシアの侵略を容認せず、国際法秩序の側に立つことを支持している。方針転換は国内的にも支持を得られない。

結論として、日本が方針を変える理由はどこにもない。ロシアを非難しウクライナを支援することは、国際法の防衛、経済の安定、安全保障の維持、外交の信頼性という四つの軸で完全に整合している。短期的利益に流されて曖昧な中立を装えば、日本は信頼と発言力を同時に失う。したがって、この方針を揺るがせにすべきではない。