プーチンの抑圧機構は内向きになり、戦争支持者を標的にしている
https://www.theguardian.com/world/2025/nov/06/putin-repressive-machinery-turns-inward-target-pro-war-figures
プーチン政権の強権的な抑圧機構(治安機関・検察・裁判所など)が、反戦派を一掃したあと、親政権・親戦派の内部勢力にまで向けられている。
代表的に摘発された人物:
セルゲイ・マルコフ(政治評論家):「外国のエージェント」指定
ロマン・アリョーヒン(軍支援系ブロガー):「外国のエージェント」指定
タチヤナ・モンチャン(親ロ派ウクライナ人コメンテーター):「テロリスト・過激派」指定

政権内には大きく二つの陣営が存在:
「ロイヤリスト」陣営:国防省・国営メディアなどに結びつく既存の宣伝装置。ウラジーミル・ソロビョフらテレビ司会者が中心。
「ミリタリスト(Zブロガー)」陣営:戦争初期に自発的に前線支援を行った超国家主義者・ボランティア集団。
後者は政府の管理下にない草の根運動として発展し、寄付金や装備提供で実績を上げ、国営チャネルよりも影響力を持ち始めた。
結果として、忠誠競争と資金配分の争奪戦が発生し、当局が「ミリタリスト側」を抑え込む動きを強めている。

権威主義体制では「市民による自律的動員」が何であれ潜在的な脅威とみなされる。
反戦派が消えた今、体制は新たな敵を必要としており、粛清は内部に向かう。
現在の摘発は形式上「資金流用」「外国関係」など個別理由がつけられているが、実質的には統制強化の一環。

1930年代スターリン時代の「同志粛清」と似た構造が指摘されている。忠誠を誓っていた党員や軍幹部が、体制の「自己防衛」のために次々と排除された。
現代版の「スターリニズム的自己浄化」が始まったと分析する専門家も多い。

ロシアの抑圧装置(FSB、内務省、検察など)は、定常的に「摘発対象」を供給し続けないと存在理由を失う。
反体制派が尽きた現在、その矛先は「過剰に忠実な者」「資金を握る者」「独自の影響力を持つ者」へ移っている。
この傾向が続けば、ロシアの情報空間はさらに均質化・縮小し、戦時体制内部の「疑心暗鬼のサイクル」が強化される可能性が高い。