ロシア外相セルゲイ・ラブロフの不在がモスクワで警鐘を鳴らす
https://edition.cnn.com/2025/11/07/europe/russian-foreign-minister-sergey-lavrov-absence-intl

直接の発端
11月5日(水)に開かれたロシア安全保障会議(核実験再開を議題)に、常任メンバーであるラブロフが唯一出席していなかった。
同日、プーチンはG20ヨハネスブルグ首脳会議の代表団長にラブロフではなくオレシュキン副長官を任命。
これらが重なり、露メディア「コメルサント」が「合意の上での欠席」と伝えつつも、政界に波紋を広げた。

背景にある外交面の失敗
数週間前、ブダペストで予定されていたプーチン=トランプ会談(対面形式)が決裂。
ラブロフは米側との調整を担っていたが、マルコ・ルビオ国務長官との電話会談で歩み寄りがなく、会談中止 → 米が追加制裁発動という流れになった。
この一連の経緯で「ラブロフの交渉力低下」や「トランプ政権との調整失敗」の責任論が一部で浮上。

クレムリンの火消し対応
ペスコフ報道官が「更迭の噂は虚偽、ラブロフは外相に留まっている」と即座に否定。
外務省報道官ザハロワも「欠席は事実だが、そういうこと(出席しないこと)もある」と説明。
つまり形式上の職務継続を強調しつつ、内部事情は公にせず鎮静化を図っている。

政治的意味
プーチン政権では、失脚させずに「横滑り」や「一時的な冷却期間」を置くのが常套手段(例:ショイグ国防相→安保会議書記)。
よって今回も即座の更迭より、外交面の刷新・責任分散をにおわせる“静かな棚上げ”の可能性が高い。
特に外交路線が停滞し、米国・欧州・中国いずれとも交渉難航の中、人事で「テコ入れ」を探っている兆しと見られる。

現時点の見通し
ラブロフは依然ポストに残るが、表舞台への露出は抑えられつつある。
代わりに大統領府経済ブロック出身のオレシュキンが国際会議代表に抜擢されたのは、外交に経済・制裁対応を軸とする新しい重心を示唆。
もし今後もラブロフが国際会議や主要訪問から外される流れが続けば、事実上の退任プロセス(名誉的ポスト転任)に進むと見られる。