>>592
キスカ島で発生したレーダー像への射撃事件は米海軍では‘battle of the blips’で知られており、電離層の発生による虚像に発砲した事件である 電離層が発生した場合に特定周波数の電波の通り道が形成されて通常では考えられないほど電波が伝達される現象が観測される(オーロラが発生した時にアマチュア無線が通常あり得ない遠方と通じるケースなども同一現象)
米海軍が初期から使用していたSCレーダーの周波数が電離層とマッチした事により遥か遠方のカムチャッカ半島が映ってしまった(レーダのパルス周期を超えた時間をかけて戻って来るのでスクリーンでは近くに出現した様に見える 技術用語でsecond time around)現象だ その証拠に周波数が異なるSGレーダーのPPIスクリーンにその様なものは映っておらずSGレーダー搭載艦は相手が見えないのに僚艦が発砲を開始したので混乱している。
現象は帰国後の調査で理解されたので米海軍では敵艦隊を発見した場合は周波数の異なる捜索レーダーに同様の像が映っているかCICでダブルチェックする再発防止策を採用して二度と同様の問題は起こらなくなった このチェック方法は戦後も電離層での影響を避ける為に広く行われており、原理的に電離層障害が発生しないスペクトル拡散変調をレーダー波に使う研究も研究所で40年代半ばから開始される
帝国海軍は戦前から電離層の研究をしており先行していたのだがレーダーと電離層の関係を理解する技術水準まで到達しておらず、戦後なって海上自衛隊が米海軍から教示されてマニュアルを実施する事になる