>>725
南アフリカでも、多くのユダヤ人たちが人種間の平等を求める運動に身を投じた。左翼の運動を通じて闘う者もいれば、ANC(アフリカ民族会議)に参加する者もいた。ANCは20世紀の初頭から闘争を開始していた。やがてネルソン・マンデラという人物が、その指導者となる。
マンデラは、当初はストライキやデモなどの平和的な手段で闘争を進めた。しかし、アパルトヘイト体制の力による抑圧に直面すると、武装闘争路線へと方針を変えた。
だが武装闘争といっても、急には始められない。戦闘の経験がない者が突然にゲリラの勇士には変身できない。そこで活躍したのがイスラエル帰りのユダヤ人たちであった。イスラエル成立前のパレスチナには、ユダヤ人の地下軍事組織があった。それが、パレスチナ人やイギリス当局と戦った、
パレスチナを統治していたイギリスから見ればテロ組織だった。ユダヤ人から見れば、もちろん正当なゲリラ活動だった。そうした経験を持ったユダヤ人たちが、ANCの武装闘争の先頭に立った。
やがてANCを支援する各国で南アフリカの若者たちが訓練を受けるようになった。しかし、兵士が育つまでの間は、イスラエル帰りのユダヤ人たちの経験は、ANCにとっては貴重だった。
(そして)1994年に南アフリカのアパルトヘイト体制が終わった。」