2025年11月22日までの戦闘損失推定値を見ると、直近の48時間でもロシア軍の損害ペースは依然として高水準のまま推移している。追加損失は人員1170、戦車4、装甲車7、砲兵システム9、MLRS1、対空システム1、車両・燃料タンク74、作戦レベル無人機222となっており、特に砲兵・車両・無人機が突出している。地上戦の中心が依然としてドネツク州のクラホヴェ、ポクロフスク、セリドヴェ一帯で行われていることを踏まえると、これはロシア軍が冬季前に前線を押し広げようと密度の高い攻撃を継続していることを反映している。

最近の特徴は、機甲戦力よりも砲兵とドローンの損失が常時大きい点で、ロシア側が歩兵主力の浸透戦術に依存し、機甲を温存しながら火力と無人機を消耗させて前線を削り取る構図が続いている。戦車の追加損失が4台にとどまっているのは、ロシア軍が重装備を直接突撃させるよりも、歩兵とFPV群による局地的突破を優先しているためであり、装甲車の増加値が中程度であることも同じ傾向を示す。砲兵システムの損失が高止まりしているのは、ウクライナ側が残存する精密砲火、反砲兵レーダー、長距離ドローンを集中投入してロシアの砲撃拠点を叩いている結果とみられる。

無人機損失は直近でも222と大きく、これはロシア軍が攻撃・偵察の双方に大量のドローン群を投入して前線密度を維持している裏返しである。近月の戦況では無人機が歩兵の火力そのものであり、一日の損失が200前後に達するのは異常ではなくなっている。車両・燃料タンクの74も後方補給網への攻撃が続いていることを示し、ウクライナ側がATACMS・自爆UAVなどでロシア側の集積地や補給路を断続的に狙っていることを反映している。

航空機・ヘリコプターがゼロ増のままなのは、ここ数週間の空中損失が比較的低調で、ロシア軍が航空戦力を大規模に前線へ晒していないため。巡航ミサイルや特殊装備も動きがなく、ここ48時間の戦況は「地上戦の継続的消耗」が中心となっている。

全体としては、ロシア軍が局地的前進を積み上げようと圧力を継続し、ウクライナ側が火力とドローンで抵抗しつつも後退を強いられる場面が続いている。この損失データは、現在の戦争が機甲突破よりも砲撃戦とドローン戦に完全に移行したことをよく示しており、前線は広範囲で消耗戦の状態にある。