トランプ、世界に何を望むのか明らかに
https://www.politico.com/news/2025/12/05/trump-reveals-national-security-strategy-western-hemisphere-europe-00678265
トランプ政権は新たな「国家安全保障戦略」を公表。

西半球(アメリカ大陸)を最重視
「国境の安全が国家安全保障の中心」と位置づける。麻薬・人身売買・不法移民対策のため、海軍・沿岸警備隊を増強。
中国が南米やカリブで港湾やインフラ支配を広げる動きを牽制する文脈が随所にある。
1823年のモンロー主義を引き合いに出しつつ、“トランプ補論”として、米州への外部勢力介入を排除する方針を強調。
中南米諸国とは、資源確保・経済協力・戦略投資で連携を強化。

欧州への批判的姿勢
欧州を「文明的衰退」と表現するなど厳しい評価。欧州が極右政党を抑え込む動きについて「政治的検閲」と批判。
移民増大により将来「非ヨーロッパ系住民が多数派になるNATO加盟国が出る可能性」を指摘し、それが米欧同盟の安定を損ねると示唆。
ただし「欧州を切り捨てることは自己破壊的」とし、欧州の修正を促すという論調も併存。

ウクライナとロシア
ウクライナ戦争の「迅速な停戦交渉」の必要性を明記。全体としてロシア批判は弱く、欧州への批判と比較しても抑制的。
欧州がウクライナ戦争で非現実的期待を抱いていると批判。ロシアとの対立拡大を避ける安全保障上の配慮が見える。

中国への扱い
トーンは強硬だが慎重で、過剰な挑発を避ける表現。「公正・相互主義に基づいた経済関係へ」と記述。
一方で「非センシティブ分野では相互利益のある関係を維持」など、対立管理を意識した言い回し。
台湾については「現状維持を一方的に変えない」という従来方針維持を明記。

中東・アフリカへの関心は薄め
過去の政権よりも明確に扱いが小さく、優先度が下がっている。

戦略文書としての特徴
トランプ本人を礼賛する表現が多く、「平和の大統領」と記述。
「アメリカの精神的・文化的健全性の回復」 「伝統的で強い家族の増加」など、宗教右派が好む価値観に近い文言を含む。
他国の野心を「国際関係では強大国が影響力を持つのが当然」などと説明。
「介入に高いハードルを設ける」と述べつつ、「強大な敵対国の台頭は阻止する」としており、内在的矛盾も。