冨山和彦(経営共創基盤CEO)【佐藤優の頂上対決/我々はどう生き残るか】
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200204-00605776-shincho-bus_all&;p=2

中産階級の消滅

冨山 これと連動してローカルな世界で起きていることがあります。結局、グローバル企業はこの変容についていけず、
リストラを始めます。そうなると典型的な中産階級雇用を吐き出し始める。ローカルへ出されていった雇用の受け皿は、
低賃金、ブラックな職場で、非正規雇用が多いわけです。具体的には、建設や介護の業界です。

佐藤 先進国においては世界的に起きている現象ですね。

冨山 そうです。要するに今のグローバル産業というのは中産階級を生まない構造になっている。グローバル競争の結果は、
中産階級雇用を常に賃金の低いところへと移動させていきます。

佐藤 中産階級がなくなる一方で、生産手段を持つ少数が富を独占していく流れになっている。

冨山 昔、マルクスが心配したのとは違う形ですが、生産手段の独占が起きて、どんどん格差が広がっていきます。
一部の頭のいい人たちがほとんどの生産手段を持っていってしまう。これは教育や知的な能力の問題にもつながって
いますから、やっかいです。

佐藤 そこは民主主義の根本に絡む問題です。

冨山 ええ。そこは不調和を起こします。