ユダヤ教「超正統派」居住区で感染拡大 集団礼拝やめず 大家族で“密集”し生活
https://mainichi.jp/articles/20200404/k00/00m/030/170000c

 イスラエルのユダヤ教超正統派住民の居住区で、新型コロナウイルスの感染が深刻化している。
礼拝を優先し、政府が呼びかける「不要不急の外出禁止」などの情報を信じない人が多いことなどが
背景にある。今後、大規模な集団感染を引き起こす可能性もあり、イスラエルのメディアは、超正統派に
とって第二次大戦中のナチス・ドイツによる「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)以降、最大の脅威」と
警鐘を鳴らしている。

 超正統派が集住する地域で深刻なのが、イスラエルの中心商業都市テルアビブに近い人口約20万人の
ブネイブラクだ。4月2日までに、人口約90万人の最大都市エルサレムとほぼ同じ900人以上が感染した。

 イスラエルは建国時、国家統合のためユダヤ教の伝統を公的に守ることを約束し、超正統派に特別な
地位を与えた。多くの男性が就労せずに宗教研究に没頭することを支援し、政府の補助金で生活する人も
多い。出生率は6・0前後と高く、子だくさんの家族が2世代、3世代とアパートに「密集」して暮らす
ケースもあり、こうした生活環境も感染拡大の要因の一つとみられる。テレビやインターネットと距離を
置き、政府や報道機関の情報よりも聖職者の言葉を信じる傾向もあり、政府がシナゴーグ(ユダヤ教会堂)
での礼拝規制に踏み切った後も、超正統派居住区では礼拝が続けられていたという。