>>500 つづき

【第1局】決断の▲4五桂
豊島さんの先手番になりました。

【第1図は▲5八玉まで】

「この将棋は第1図がポイントです。この▲5八玉くらいまでは研究していましたが、以下の△3五歩▲同歩に△4四銀という順は考えていませんでした。対して実戦は▲4五桂と跳ねましたが、ほかには▲6九飛と回って△6四歩を打たせる順、こちらから▲6四歩と打つ順、▲2七(1八)角と打って△3六歩を消す順などを考えていました」

―▲4五桂を決断した理由を教えてください。

「あとで桂を入手して、▲3四桂を打てる展開になりそうだなと思ったので、強く指しても戦えると思いました。この桂跳ねは怖い手ですが、後手陣も傷んでいるので勝負できるのではないかという判断です。実戦も以下の手順で▲3四桂を実現でき、勝つことができました」

【第2局】急転直下の敗戦
―続いての第2局
【第2図は▲8八玉まで】

―▲5七金に対する本譜の△4八銀(第5図)がかなり危険な手でしたね。

【第5図は△4八銀まで】
https://www.shogi.or.jp/kifu_images/captures?kifu_path=/column/data/toyoshima_sekai05.kif

「そうですね。以下▲7九飛△5七銀成▲3三桂という順を本線に考えていたのがまずかったです。△3三同金は▲5三飛成で成銀を抜かれるので、▲3三桂に△4二金打で勝負と思っていました」

―第5図から▲5二角△4二金打▲4三桂が厳しい寄せでした。「全く浮かばなかった順で急転直下。角を打たれてどうしようもありません。△4八銀を打つときはいろいろな手を考えていたつもりですが、5分しか使っていないんですね。△4二銀打の変化も▲6九飛の順で苦しそうです。△2七角に代わる順をひねり出す必要がありました」

第2局で流れを悪くしかねない敗戦を喫した豊島棋聖は、第3局から第5局をどう戦ったのか。そしてタイトルホルダーとして、これから目指すところは? 本記事の全文は将棋世界 2018年10月号でお読みいただけます。

(引用終り)