中沢忠之
磯崎さんのこの時評はやや我田引水があると思う。
確かに、週末医療の切り捨てと読めるところはオーバトークですが、
プロットが好きだからという部分のみ切り取って身体性がないというのは敵認定しすぎです。
朝吹さんの『timeless』が好きって言ってるじゃないですか。

それから、文芸誌体制から逸脱せずに、
そのキャリアで規定路線の大学教員にまでなった作家に身体性とか言われてもまるで僕には説得力ない。
磯崎さんが批判する若い二人の方が、ジャンルの庇護なく試行錯誤してますよ。
2018年12月31日

昨日磯崎さんの批判をしてしまったのは、特定のジャンルの支えなく場所
(個人的な居場所も含め)のデザインをしている若手を、
「文学は身体性が大事」という特定ジャンルの主張のための根拠にしているように見えたから。
2019年1月1日

磯崎さんが最近時評で身体性が大事だみたいなことをおっしゃっているのは意義深いと思いますし
(価値観は違いますが)、平成の初め頃に出た作家まではそういう緊張感があったように記憶してます。
黙説法を駆使するとされる村上春樹氏も実際はパラテクストの非常に豊富な作家です。

確かに文学が無条件に教養として読まれえたり、批評家との論争や文学史が機能していた時代はあったけれど、
そのような支えの崩壊は昭和の終わりに明かになり、若い作家は独自にパラテクストを増やしたはず。
高橋島田春樹ばなななどから阿部まで。
2019年1月2日

僕は、古市氏を外から連れてきて年号と安楽死という政治的なテーマをもった
『平成くん』を書かせた文学界には感謝してます。ジャンルにはシンボルが必要な時もある。
そしてそれが書けるのは才能があるからだとも思います。シンボルに対する批判的な視線もありますし。

古市氏には芥川賞をとってリベラル心性が強い文壇を色々掻き回していただければとも思いもします。
文学になんて興味ないだろうけどさ。
2019年1月3日