文芸五誌大学文学部創作講座
第1回 過剰な装飾句はイメージ喚起可能か?
講師 (´・ω・`)
今回テーマ
「それは」「それでも」「その」の連発は読者のイメージの喚起の妨げにならないだろうか?

【作例1】
人気のない駅舎の陰に立って、私は半ば顔の消えた来訪者を待ち続けていた。記憶を浚って顔の像を何とか結び合わせても、それはすぐに水のように崩れてゆく。それでも、すぐに断片を集めて輪郭の内側に押し込んで、つぎはぎの肖像を作り出す。その反復は、疼く歯を舌で探る行為と似た臆病な感覚に満ちていた。

【川端康成テイスト】
人気のない駅舎の陰に立って、私は半ば顔の消えた来訪者を待ち続けていた。記憶を浚って顔の像を結び合わせても、すぐに崩れてゆく。それでも、すぐに断片を集めて輪郭に押し込んで、つぎはぎの肖像を作り出す。その反復は、臆病な感覚に満ちていた。