>>6
ざっとだけど読んだ
流石だね、明らかに構成は俺より上手い
10点満点で、構成8、文章3、キャラ6、設定5、って印象

【構成】
冒頭の姫の姿がドラゴンって種明かしとか、悲惨な境遇の姫を
主人公が救って連れ出す流れのワクワク感とか、「私の姿を、ドラゴンに戻してください」
と姫の成長と決意を感じさせるクライマックスとか、この作品は流れの良さが一番の強みだと思う
ただ、プロットレベルで言うとすごく良い流れなんだけど後述する文章とかがその良さを殺してる側面もある

【キャラ】
二番目に良いのがキャラで、リュートが芝居がかった喋り方してるのも
女の子っぽい外見で中和されるし、人化した姫のキャラデザも泣くシーンが映える感じで格好良い
個人的には姫の成長と決意のシーンが一番熱かった
悲惨な境遇を救うヒーローと、救われた側がヒーローを逆に救って恩返しする成長譚大好き

ただ人間的な根っこの部分は良いけど表面的にはリュートって名前や喋り方や腰に棒差してるとこ、
ラティーシャが地の文ばかりであまり喋らない感じとかは微妙だと思う

パッと見で伝わる魅力も大事なので、姫やリュートや他キャラの表面的な改善、第一印象とかが必要かと
そもそも冒頭以外は主人公をリュートにして、リュート視点で描いた方が面白い、かも?
姫が主人公と言うには終盤まで流されてるし、構成上の難があるとしたら主人公とヒロインが曖昧なことかな
姫があんま喋らないのも主人公らしくなさに拍車をかけてる

ダブル主人公でもいいし、リュート視点で進めてクライマックスで姫もリュートも熱い言動させてもいい
どちらにせよ喋らない姫視点で進めて終盤になるまで姫が受け身なのはあまりよくない

【文章】
そして落ちた理由は文章だと思う
多分本来の文章力自体が致命的にダメなんじゃなく、奇抜なことをやろうとし過ぎなんじゃないかな
『復讐讃歌叛逆VR』の方の文章もちょっと見たけど一人称の癖が強すぎて世界観に入れなかった
ストーリー自体は面白いのに、童話じみた過剰演出を文章でやろうとし過ぎて邪魔になってる
シンプルな三人称で、描写量も三分の一ぐらいにした方が(読者にとっての)面白さが削られないと思う
……正直、多分文章の描写センスそのものがあまり強みじゃなさそうなので、
『苦手分野である文章は奇抜なことをせず、成功例を研究して倣う』を意識するだけでかなり良くなるかと(自分が構成そうしてる)

姫ドラゴン時の姿とか、人化したデザインとか、視覚的な設定周りは結構良いし、
呪いで変貌したシーンの「母譲りの艷やかな藍色の髪〜」の四行とか位置づけは良い、ですますじゃなければ
キノの旅のですます地の文は作風とその回のイメージを完璧に意識した上で最善の描写をする
センスと技術の塊だから、ああいう凝ったことをするなら描写力だけの修業がかなり必要かと思う

【設定】
設定は視覚的デザインが強いし実は凝ってると思う、ただしネーミングが少なすぎて世界観が薄味でイメージしづらいね

ネーミングセンスに自信がなくても考えまくって設定盛り込んだ固有名詞をできるだけ入れるべき
例えば姫の竜姿を『かつて百の剣に倒れ、死に際に国を呪った忌まわしき邪竜レイナイルの呪い』
とか呼ぶと、邪竜レイナイルの粘液姿なんだなぁと名前がついてイメージしやすい

リュートも冒頭から「『竜狂い』って聞いたことない? 失礼しちゃうよね、『竜好き』の間違いなのに」
とか名乗らせると二つ名ごとキャライメージを把握しやすい、あとリュートって響きは日本の子供っぽすぎて世界観にあんま似合ってないと思う

――『竜狂い』リュートと『邪竜の姫』ラティーシャの物語。
とかって一言で格好良く中身が伝わる名乗りを上げられるのが、ネーミングの強さ
この作品は味は美味しいのにラベルが何も貼ってないから中身不明の謎の食品みたいなもので、だいぶもったいない
設定に魅力的なラベリングをすることが課題の一つじゃないかな

というわけで、『文章の演出をシンプルにすること』『設定に魅力的なネーミングをすること』
あと、『主人公なら主人公らしい振る舞いをさせること』がこの作品の課題かな
その辺りを今作か別作で解決すれば受賞できるんじゃないかと思います、頑張って