>>185
全部読んだ。狙いはわかるけど失敗してる。
冒頭が失敗してるからなかなか面白くならない。1〜2話は大きなプロローグに過ぎなかった。
7話からようやく面白くなる。みんなの目的が分かった上、主人公が直接動き出すので、最後まで勢いよく読めた。

冒頭が大きく失敗している点は6つ。
1つ目、主人公が悲惨な状況や不幸な状態から始まらないと興味が持てない。だから共感や感情移入ができない。
2つ目、掴みのインパクトが弱い。
3つ目、物語の始まりが遅い。いったいこの話を通して主人公は何を成し遂げるのか、という目的が出てくるところが物語の始まり。
4つ目、物語が始まっていないのに、ネームドキャラを何人も同時に出し過ぎ。目が滑るだけで全然興味惹かれない。
5つ目、物語が始まっていないのに、設定を開陳しすぎ。何の話か分からないのに設定読んでられない。
6つ目、主人公が職業AだからBするにしか見えなくてキャラが薄っぺらくみえる。

で、読んでる最中は二通りの冒頭が考えられるなと思っていた。
一つは村が魔物に襲われて死にかけたところをアーロンに助けられて心酔。騎士を目指すという序章。
二つ目は失意の中、孤児になって孤児院へ来て、みんなに温かくされて心を立ち直らせる序章。
そして本編冒頭はいきなり殺されたところか、もしくは生き返ったところから始める。
ていうか1〜5は、過去2作で出来てたのになんで急にできなくなったんだと思った。

でも、11話の過去回想を読んで、この作品の抱える問題点に気付いた。
それは作者が、主人公とアーロンの話なのか、主人公と家族の話なのかを決められていないこと。あるいは両方やろうとしてること。

だからセントラルクエスチョンが二つある話「はたして主人公は命の恩人だけど裏切り者のアーロンを倒せるだろうか」「果たして主人公は大切な家族を守れるだろうか」になってしまってた。
テーマが二つあると言うべきかな。だから冒頭が決まらない、決められない。

各話や各シーンのズレもテーマが交互に入れ替わることから来てると思う。
ダブル主人公にしてそれぞれにテーマを体現させるって手法もあるけど、応募作ではお勧めしないなぁ。


まあ、修正しやすいのは家族を守るをメインに据える方かな。アーロンとの関わりは減らして。殺されるところは初対面でもいい。
それに主人公は孤児たちを守るために戦うのではなく、直接守る行動を取ったほうがいい。主人公の目的を現在進行形のドラマで読者に伝えるとわかりやすいから。
一緒に行動を共にすることで、孤児たちとの関係性を掘り下げることができるし、読者にとっても大切な存在になります。

例えば、最初の襲撃で全員殺されてみんな化け物として復活した。このままだと街の人たちに化け物として討伐される。
そこで主人公は子供たちを率いて山奥に隠れ住んで、全員で苦労して衣食住を整えつつ、周囲の魔物から守りながら村を作っていく。
ところが村が完成したら聖鳥に見つかり村は燃やされる。騎士たちに追い詰められてもうダメかと思ったところでジェマ登場して地下へ退避、とか。

これなら家族を守りたいって言う主人公の想いが行動で表せるし、化け物孤児たちとの交流が増えて関係性も深まるはず。
しかもこの作品で斬新なアイデアは何かって言ったら、化け物孤児院だから。
それにグロ化け物大好きな作者の性癖を思いっきり出せるはず。まあ、ただの一提案にすぎないけど。


ともあれ、セントラルクエスチョンは一つに絞ったほうがいいと思う。
ということは、作者がこの作品で一番書きたいものはなに? それを話の中心にして、まっさらな状態から構築し直してみては?
今はあれもこれもと書きたいもの足しすぎてて混線していると思う。
すっきりしたお話作りには 引き算 が重要です。
使用しなかったアイデアは別の作品に使えばいいですし。