よろしくお願いします

[いつ読んだ] 15年ほど前
[あらすじ] 短編集の中の一編。
仕事ばかりで妻を顧みない夫と熟年離婚した女が、家政婦として住み込みで働ける旧家を見つけた。
家族構成は寝たきりで動けない青年と、知恵遅れ気味の妹と、老いた母親。
食費は一日一人500円と言われて驚く。裕福な家だと思ったのに違うようだ。
家中からかき集めたようなシワシワのお札で給料を貰う。
青年の妹だと思っていたのは実は家政婦で、殆ど役に立たないのだが青年が気に入って雇い続けている。
そのせいで金に余裕がないらしい。
ある日既に独立した娘と会って離婚の事を話すと、褒めてもらえると思ったのに、諭された。
「お母さんは自分を見てくれなかったお父さんを傷つけたいだけ、お父さんが可哀想」と言われてしまう。
またある日青年と話をすると「僕はもう死ぬから、最後に誰かを傷つけて記憶に残りたい」と言われショックを受ける。
知恵遅れの娘を雇い続けるのは、彼女が無垢で何も知らないからだと言う。
「きっと彼女はひどく傷ついて僕を覚えていてくれるから」
女は自分が夫と離婚をしたのも同じような理由だったのかもしれないと考え始める。

[物語の舞台となってる国・時代] 現代日本
[本の姿] 文庫
[その他覚えていること何でも]  ずっと角川ホラーの『鋏の記憶』だと思っていたのに違った。多分その頃(2001年)の本です。