主人公の自分への甘さが気持ち悪いんだよな。村田が選評で「冷徹さのある筆」とかなんとか書いてたけど、え?って感じ。
終盤とってつけたように語られる「自分だけの言葉」うんぬんも、そんなものを求めてるなら、いつだって葛藤しててくれよと思う。
なのに主人公は、誰にも心の内を語らないし、語ろうともしないし、始終葛藤しているというわけでも全然ない。
そして最後は、ひどり振り方をした元カノに優しくされて心を動かされるというチョロさ。
うん、これはただの女子高生の話だ。きっとこの主人公はあと一、二年もすれば完全に社会に順応するよ。
内面描写を省略しまくれば作品の粗も目立たないし、うまくいけば深読みしてもらえるってことなんだろう。
「過不足なく書けている」みたいな選評もあったけど、これで?と思わざるをえない。