下手くそ杯、参加します!

テロリスト・ブルーアイリス

「また、野党の議員ですね」
俺は先輩の刑事に言った。
周囲には鑑識がいたが、俺たち刑事も現場を検証していた。
「ああ、ナショナルアセット法に反対していた議員だ」
「しかし、自民党の議員を野党の議員と言うのは、なれませんね」
「しかたがないだろ、共産党の首相になって、立憲民主党が与党になったんだから」
そうだ、コロナ対応へ自民党・公明党政権が失敗して、いつの間にか共産党・立憲民主党連合政権に日本はなった。
そして、共産党から首相が選ばれた。
国民は不思議なことにそれを自然と受け入れた。
ナショナルアセット法とは「国と国民の為の資産法」のことで、これは一言で言うのは難しい。
ただ、言えるのは自民党が下野して、与党の親中派が日本国内への中国からの出資を募るための手段だった。
いつの間にか、尖閣もなぁなぁの状態になり、人民解放軍の軍艦が通過するようになっていた。
日本の各海峡は中国とロシアが自由に行き来するようになっていた。

かつて、中国、ロシア軍の偵察機が日本の領空を侵すと航空自衛隊のスクランブルがかかっていたが、スクランブル出動も禁止された。
「ところでやっぱりあったか、あやめは?」
「ありましたよ。ふざけたことにほとけさんのスーツの上着のポケットに差していました」
「テロリストとしても、ふざけているよな」
「これで四人目ですね」
「ああ、さすがに五人目になると、桜田門への国民の眼も厳しくなる」
「それもありますが、市ヶ谷のほうも大変らしいですね」
桜田門とは警視庁。
市ヶ谷とは防衛省・自衛隊のことだ。
「市ヶ谷は親米派だと地方の隊員募集に飛ばされるとさ」
「うちは都内に限りますからね。そう言えば、先輩、あきる野の交番勤務の時期がありましたよね?」