ある賞に応募したんだけど落ちた。
どこが悪かったのか批評してくれると嬉しい。
レスできないかもだけど、よろしくお願いいたします
探検
私の短編作品を批評してほしい
1名無し物書き@推敲中?
2024/06/17(月) 22:38:48.4432名無し物書き@推敲中?
2025/10/27(月) 13:45:11.70 夏の残像(2)
「……顔、真っ赤」
先輩の声が、すぐ頭上から降ってきた。
(近い)
慌てて顔を伏せた私の視界に、先輩の裸足の指先が入る。
一歩、近づいたのだ。
私は壁に背を押し付けたまま、動けない。
「まさか……のぼせた?」
先輩の屈託のない声。
その声とは裏腹に、私は熱に浮かされているようだった。
「だ、大丈夫です……先に、着替えます」
震える手で、自分のTシャツの裾を掴んだ。
その時だった。
ひやり、と冷たいものが私の頬に触れた。
「!」
見上げると、先輩の顔がすぐそこにあった。
さっきまで自分が飲んでいた、スポーツドリンクのボトルだ。
「汗、すごいよ。これ、あげる」
先輩は、自分の着替えもまだなのに、私にボトルを押し付けた。
その指先が、私の頬に触れ、ゆっくりと滑る。
汗を拭うような、確かめるような、優しい仕草だった。
「……あ」
声にならない声が出た。
先輩の瞳が、私をまっすぐに射抜いている。
さっきまで見ていた、あの汗の光る背中がフラッシュバックする。
「……熱いね」
先輩が、小さくつぶやいた。
それが、気温のことなのか、私の頬の熱のことなのか。
それとも、この更衣室に満ちた、別の熱のことなのか。
私には、もうわからなかった。
ボトルを握る手が、震えていた。
「……顔、真っ赤」
先輩の声が、すぐ頭上から降ってきた。
(近い)
慌てて顔を伏せた私の視界に、先輩の裸足の指先が入る。
一歩、近づいたのだ。
私は壁に背を押し付けたまま、動けない。
「まさか……のぼせた?」
先輩の屈託のない声。
その声とは裏腹に、私は熱に浮かされているようだった。
「だ、大丈夫です……先に、着替えます」
震える手で、自分のTシャツの裾を掴んだ。
その時だった。
ひやり、と冷たいものが私の頬に触れた。
「!」
見上げると、先輩の顔がすぐそこにあった。
さっきまで自分が飲んでいた、スポーツドリンクのボトルだ。
「汗、すごいよ。これ、あげる」
先輩は、自分の着替えもまだなのに、私にボトルを押し付けた。
その指先が、私の頬に触れ、ゆっくりと滑る。
汗を拭うような、確かめるような、優しい仕草だった。
「……あ」
声にならない声が出た。
先輩の瞳が、私をまっすぐに射抜いている。
さっきまで見ていた、あの汗の光る背中がフラッシュバックする。
「……熱いね」
先輩が、小さくつぶやいた。
それが、気温のことなのか、私の頬の熱のことなのか。
それとも、この更衣室に満ちた、別の熱のことなのか。
私には、もうわからなかった。
ボトルを握る手が、震えていた。
33名無し物書き@推敲中?
2025/10/27(月) 13:49:05.30 夏の残像(3)
先輩は、何事もなかったかのように私から手を離した。
そして、あっという間に制服に着替えてしまった。
「じゃあ、お先に。戸締りよろしくね」
ひらひらと手を振り、先輩は去っていった。
一人残された更衣室。
まだ、あの熱気が残っている気がした。
私は、ぬるくなったスポーツドリンクを握りしめた。
さっき先輩の指が触れた頬が、まだジンジンと痛い。
(……なんだったんだろう、今のは)
帰り道。夕焼けが、アスファルトを濃いオレンジ色に染めていた。
蝉の声が、もう弱々しい。
私は、さっきの光景を必死で頭から追い払おうとしていた。
あの、汗に濡れた背中。
しなやかな肩甲骨の動き。
私に触れた、指先の熱。
(……おかしい)
わかっている。先輩は、ただの後輩思いの、優しい先輩だ。
あの行動に、特別な意味なんてない。
問題は、私の方だ。
どうして、私はあんなに息が詰まったんだろう。
どうして、男の子の裸を見ても何も感じないのに。
先輩の、同じ女の人の肌に、あんなに動揺したんだろう。
喉が渇く。
これは、ただの憧れなんだろうか。
そう思おうとしても、胸の奥で燻るこの熱は、消えてくれない。
(違う。私は、先輩のことを……)
夏の終わりの生ぬるい風が、私の乱れた髪を撫でていった。
これは、暑さのせいだけじゃない。
私は、自分の内側に生まれた熱を、はっきりと自覚していた。
先輩は、何事もなかったかのように私から手を離した。
そして、あっという間に制服に着替えてしまった。
「じゃあ、お先に。戸締りよろしくね」
ひらひらと手を振り、先輩は去っていった。
一人残された更衣室。
まだ、あの熱気が残っている気がした。
私は、ぬるくなったスポーツドリンクを握りしめた。
さっき先輩の指が触れた頬が、まだジンジンと痛い。
(……なんだったんだろう、今のは)
帰り道。夕焼けが、アスファルトを濃いオレンジ色に染めていた。
蝉の声が、もう弱々しい。
私は、さっきの光景を必死で頭から追い払おうとしていた。
あの、汗に濡れた背中。
しなやかな肩甲骨の動き。
私に触れた、指先の熱。
(……おかしい)
わかっている。先輩は、ただの後輩思いの、優しい先輩だ。
あの行動に、特別な意味なんてない。
問題は、私の方だ。
どうして、私はあんなに息が詰まったんだろう。
どうして、男の子の裸を見ても何も感じないのに。
先輩の、同じ女の人の肌に、あんなに動揺したんだろう。
喉が渇く。
これは、ただの憧れなんだろうか。
そう思おうとしても、胸の奥で燻るこの熱は、消えてくれない。
(違う。私は、先輩のことを……)
夏の終わりの生ぬるい風が、私の乱れた髪を撫でていった。
これは、暑さのせいだけじゃない。
私は、自分の内側に生まれた熱を、はっきりと自覚していた。
34名無し物書き@推敲中?
2025/10/28(火) 15:31:07.40 存在しない色のレシピ
カフェの隅で、ヨウコはいつも同じ席に座る。彼女の目的は、コーヒーでも読書でもない。「イシの青」を見るためだ。
イシは、この街で唯一、誰も認識できない色を塗れる画家だった。彼が描くキャンバスには、青でも緑でもない、言葉では説明不可能な「何か」が渦巻いている。人々はそれを「ノイズ」だと嘲笑したが、ヨウコにはそれが、宇宙の裏側で燃える恒星の色に見えた。
今日、イシは店の壁に、その「イシの青」を塗り始めた。彼は古いバケツから、透明な液体をブラシに含ませ、壁に走らせる。本来、何も見えないはずだ。しかし、塗られた瞬間、ヨウコの視界の端が歪んだ。
そこに現れたのは、視覚情報というより、味覚に近いものだった。強烈なミントのような清涼感と、古い本の紙魚のような乾いた渋みが、同時に舌の上で弾けた。
(ああ、なんて奇妙な青だろう。)
ヨウコは息を呑んだ。その色を見るたび、彼女の過去の記憶がランダムにシャッフルされる。今、彼女の目の前で、十歳の誕生日に食べたショートケーキの味が、六歳の時に失くした赤い風船の「感触」と混ざり合っていた。
イシは筆を止め、汗を拭った。壁には、相変わらず何も描かれていないように見える。彼だけが知っている。世界は認識の外側に、もっと多くの色を隠していることを。ヨウコは立ち上がり、イシのバケツの透明な液体を指差した。
「それ、分けてもらえませんか。わたしも、あの『味』を塗ってみたい。」
イシは、初めてヨウコを見て、不気味に微笑んだ。
カフェの隅で、ヨウコはいつも同じ席に座る。彼女の目的は、コーヒーでも読書でもない。「イシの青」を見るためだ。
イシは、この街で唯一、誰も認識できない色を塗れる画家だった。彼が描くキャンバスには、青でも緑でもない、言葉では説明不可能な「何か」が渦巻いている。人々はそれを「ノイズ」だと嘲笑したが、ヨウコにはそれが、宇宙の裏側で燃える恒星の色に見えた。
今日、イシは店の壁に、その「イシの青」を塗り始めた。彼は古いバケツから、透明な液体をブラシに含ませ、壁に走らせる。本来、何も見えないはずだ。しかし、塗られた瞬間、ヨウコの視界の端が歪んだ。
そこに現れたのは、視覚情報というより、味覚に近いものだった。強烈なミントのような清涼感と、古い本の紙魚のような乾いた渋みが、同時に舌の上で弾けた。
(ああ、なんて奇妙な青だろう。)
ヨウコは息を呑んだ。その色を見るたび、彼女の過去の記憶がランダムにシャッフルされる。今、彼女の目の前で、十歳の誕生日に食べたショートケーキの味が、六歳の時に失くした赤い風船の「感触」と混ざり合っていた。
イシは筆を止め、汗を拭った。壁には、相変わらず何も描かれていないように見える。彼だけが知っている。世界は認識の外側に、もっと多くの色を隠していることを。ヨウコは立ち上がり、イシのバケツの透明な液体を指差した。
「それ、分けてもらえませんか。わたしも、あの『味』を塗ってみたい。」
イシは、初めてヨウコを見て、不気味に微笑んだ。
35名無し物書き@推敲中?
2025/10/30(木) 13:11:46.59 芋虫少女の繭と光
カエデは、周囲からそう呼ばれていた。それは、彼女の容姿が特段異様だというわけではなく、彼女の生活様式、あるいは彼女が世界と接する態度が、まるで糸を吐く前の芋虫のように見えたからだ。
彼女の部屋はいつも薄暗く、分厚いカーテンが閉ざされている。その部屋で、彼女はひたすら本を読み、ノートに文字を書き連ねる。社会や他者との関わりを徹底して拒否し、自らの内側に、見えない分厚い繭を作り上げていた。同級生たちは、彼女の静寂と、外界への無関心を嘲笑したが、カエデにとって、その繭の中こそが、世界で最も安全で、そして最も創造的な空間だった。
彼女のノートに綴られる文字は、現実世界では口にすることのない、鮮烈な思考の記録だった。世界は、カエデの視点を通すと、色彩を失ったデータと、虚ろなノイズで構成された不完全なシステムに見えた。彼女は、その不完全な世界を、言葉という論理的な糸を使って、再構築しようと試みていた。彼女の書く物語は、常に変容、逃避、そして最終的な飛翔をテーマにしていた。
ある夏の夜、カエデは突然、衝動に駆られたようにカーテンを開けた。部屋に滑り込んできた月の光が、部屋の隅に積まれた本とノートを照らし出す。その瞬間、彼女は理解した。自分を縛っていたと思っていた「繭」は、実際には、彼女が外界の光を受け止めるための濾過装置であり、彼女自身の内面を形作る栄養素であったのだ。
カエデは窓辺に立ち、初めて夜の街を見下ろした。彼女の瞳には、薄暗い部屋では見えなかった、都市のネオンの混沌とした輝きと、そこを行き交う人々の、それぞれの物語を背負った影が映った。
「もう、充分だわ」
カエデはそう呟き、書きかけのノートを閉じた。彼女の内部で、長期間にわたって蓄積されてきた知識と感情のエネルギーが、臨界点に達したのを感じた。芋虫が繭を破り、蝶として飛び立つように、彼女の内なる変容が、いま、完了したのだ。次の瞬間、彼女は自らの意志で部屋の扉を開け、冷たい廊下の光の中へ、踏み出した。彼女の世界は、静寂の繭から、予測不能な光の奔流へと変わる。
カエデは、周囲からそう呼ばれていた。それは、彼女の容姿が特段異様だというわけではなく、彼女の生活様式、あるいは彼女が世界と接する態度が、まるで糸を吐く前の芋虫のように見えたからだ。
彼女の部屋はいつも薄暗く、分厚いカーテンが閉ざされている。その部屋で、彼女はひたすら本を読み、ノートに文字を書き連ねる。社会や他者との関わりを徹底して拒否し、自らの内側に、見えない分厚い繭を作り上げていた。同級生たちは、彼女の静寂と、外界への無関心を嘲笑したが、カエデにとって、その繭の中こそが、世界で最も安全で、そして最も創造的な空間だった。
彼女のノートに綴られる文字は、現実世界では口にすることのない、鮮烈な思考の記録だった。世界は、カエデの視点を通すと、色彩を失ったデータと、虚ろなノイズで構成された不完全なシステムに見えた。彼女は、その不完全な世界を、言葉という論理的な糸を使って、再構築しようと試みていた。彼女の書く物語は、常に変容、逃避、そして最終的な飛翔をテーマにしていた。
ある夏の夜、カエデは突然、衝動に駆られたようにカーテンを開けた。部屋に滑り込んできた月の光が、部屋の隅に積まれた本とノートを照らし出す。その瞬間、彼女は理解した。自分を縛っていたと思っていた「繭」は、実際には、彼女が外界の光を受け止めるための濾過装置であり、彼女自身の内面を形作る栄養素であったのだ。
カエデは窓辺に立ち、初めて夜の街を見下ろした。彼女の瞳には、薄暗い部屋では見えなかった、都市のネオンの混沌とした輝きと、そこを行き交う人々の、それぞれの物語を背負った影が映った。
「もう、充分だわ」
カエデはそう呟き、書きかけのノートを閉じた。彼女の内部で、長期間にわたって蓄積されてきた知識と感情のエネルギーが、臨界点に達したのを感じた。芋虫が繭を破り、蝶として飛び立つように、彼女の内なる変容が、いま、完了したのだ。次の瞬間、彼女は自らの意志で部屋の扉を開け、冷たい廊下の光の中へ、踏み出した。彼女の世界は、静寂の繭から、予測不能な光の奔流へと変わる。
2025/11/03(月) 12:33:01.39
>>35
「芋虫少女の繭と光」はタイトルだと思われるので
カエデは、周囲からそう呼ばれていた、としてるが何と呼ばれてるのかどうも釈然としない
ここは、
―芋虫少女―、カエデは、周囲からそう呼ばれていた。とでも書き出すのが妥当ではないか?
もしくは、
―芋虫少女の繭と光―、カエデが暮らす部屋を、周囲はそう呼んでいた。
「芋虫少女の繭と光」はタイトルだと思われるので
カエデは、周囲からそう呼ばれていた、としてるが何と呼ばれてるのかどうも釈然としない
ここは、
―芋虫少女―、カエデは、周囲からそう呼ばれていた。とでも書き出すのが妥当ではないか?
もしくは、
―芋虫少女の繭と光―、カエデが暮らす部屋を、周囲はそう呼んでいた。
2025/11/03(月) 12:38:21.24
>>34
>「何か」が渦巻いている。人々はそれを「ノイズ」だと嘲笑したが、ヨウコにはそれが、宇宙の裏側で燃える恒星の色に見えた
[宇宙の裏側で燃える恒星の色に見えた]のような表現はAIの特徴で、ちょっと突飛すぎる
人間がついていける範疇じゃない
たとえるにしても、読者が読んで「あ、わかる」と同調してくれるものを選んだほうがいい
>「何か」が渦巻いている。人々はそれを「ノイズ」だと嘲笑したが、ヨウコにはそれが、宇宙の裏側で燃える恒星の色に見えた
[宇宙の裏側で燃える恒星の色に見えた]のような表現はAIの特徴で、ちょっと突飛すぎる
人間がついていける範疇じゃない
たとえるにしても、読者が読んで「あ、わかる」と同調してくれるものを選んだほうがいい
2025/11/03(月) 12:43:26.82
>>31
>先輩は無造作に、汗で湿った練習着のTシャツを掴んだ。
>そして、ためらいなくそれを脱ぎ捨てた。
>私は、息をのんだ。
>背中。
大げさすぎ
先輩は無造作に、汗で湿った練習着のTシャツを掴んでためらいなく脱ぎ捨てた。
私は、息をのんだ。
鍛えられた、しなやかな筋肉が浮き出た先輩の背中があらわになった。
とでも普通に書いたほうがいい
>先輩は無造作に、汗で湿った練習着のTシャツを掴んだ。
>そして、ためらいなくそれを脱ぎ捨てた。
>私は、息をのんだ。
>背中。
大げさすぎ
先輩は無造作に、汗で湿った練習着のTシャツを掴んでためらいなく脱ぎ捨てた。
私は、息をのんだ。
鍛えられた、しなやかな筋肉が浮き出た先輩の背中があらわになった。
とでも普通に書いたほうがいい
2025/11/03(月) 12:48:15.26
40名無し物書き@推敲中?
2025/11/04(火) 09:39:45.92 【俺の大腸を返せ!】
麻酔が切れたケンジは、まず腹部の虚ろな熱さに襲われた。手術は成功した、と聞かされていた。しかし、内臓が本来持つべき「重み」も「存在感」も、彼の体からまるごと消失している。十二指腸と直腸の間にある、あの長大な、命を濾過する器官の輪郭が、綺麗さっぱり消え去っているのだ。そこにあるのは、空虚と、皮膚の内側から響く絶望的な共鳴音だけだった。
「先生……俺の、大腸は……?」 掠れた声で尋ねた。
担当医のタカノは、眼鏡の奥で薄く笑った。その顔は、何か偉大な芸術を完成させた後の、狂気に満ちた達成感を湛えていた。「ああ、あれですか。申し訳ない。あれは、私の作品になりました。」
「作品?」ケンジは全身の皮膚がひっくり返るような感覚に襲われた。激しい胃液の逆流。いや、胃液ではない。臓器の、存在そのものの逆流だ。内側が、内側でなくなってしまった。
タカノは続けた。「あの曲線、あの絶妙なうねり。あれは、人類の生命機能が到達した最高の抽象芸術です。私はそれを、ホルマリン漬けにした後、ガラスケースに収め、医療棟の屋上庭園に設置しました。純粋な機能美、有機的な螺旋。…命名、『排泄のレクイエム』。」
ケンジの視界は白濁した。彼の体は、もう排泄物を処理する「終点」を持たない。食事をする度に、彼の胃は、出口のない通路へとゴミを詰め込む。そして、その出口のない通路は、今や機能美を追求した医師のオブジェと化している。
「嘘だ…嘘だろ!俺の、俺のフィルターを!あのねじれた、汚い、大切な器官を!タカノ、貴様…!」
彼の声は悲鳴になった。内臓から引き剥がされた空洞が、魂の叫びを増幅させる。体内に溜まったものが、行き場を失い、喉元までせり上がってくる。
ケンジはベッドの上で身をよじり、乾いた喉から絞り出した。
「俺の大腸を返せ!排泄の喜びを、生命の終結地点を…、俺の、俺の…っ、汚い螺旋を返せえええ!」
タカノはただ優雅に微笑んだまま、屋上庭園へ目をやった。夕日を浴びたケンジの大腸は、確かに静かに、そして哲学的に、そのねじれを誇示していた。
麻酔が切れたケンジは、まず腹部の虚ろな熱さに襲われた。手術は成功した、と聞かされていた。しかし、内臓が本来持つべき「重み」も「存在感」も、彼の体からまるごと消失している。十二指腸と直腸の間にある、あの長大な、命を濾過する器官の輪郭が、綺麗さっぱり消え去っているのだ。そこにあるのは、空虚と、皮膚の内側から響く絶望的な共鳴音だけだった。
「先生……俺の、大腸は……?」 掠れた声で尋ねた。
担当医のタカノは、眼鏡の奥で薄く笑った。その顔は、何か偉大な芸術を完成させた後の、狂気に満ちた達成感を湛えていた。「ああ、あれですか。申し訳ない。あれは、私の作品になりました。」
「作品?」ケンジは全身の皮膚がひっくり返るような感覚に襲われた。激しい胃液の逆流。いや、胃液ではない。臓器の、存在そのものの逆流だ。内側が、内側でなくなってしまった。
タカノは続けた。「あの曲線、あの絶妙なうねり。あれは、人類の生命機能が到達した最高の抽象芸術です。私はそれを、ホルマリン漬けにした後、ガラスケースに収め、医療棟の屋上庭園に設置しました。純粋な機能美、有機的な螺旋。…命名、『排泄のレクイエム』。」
ケンジの視界は白濁した。彼の体は、もう排泄物を処理する「終点」を持たない。食事をする度に、彼の胃は、出口のない通路へとゴミを詰め込む。そして、その出口のない通路は、今や機能美を追求した医師のオブジェと化している。
「嘘だ…嘘だろ!俺の、俺のフィルターを!あのねじれた、汚い、大切な器官を!タカノ、貴様…!」
彼の声は悲鳴になった。内臓から引き剥がされた空洞が、魂の叫びを増幅させる。体内に溜まったものが、行き場を失い、喉元までせり上がってくる。
ケンジはベッドの上で身をよじり、乾いた喉から絞り出した。
「俺の大腸を返せ!排泄の喜びを、生命の終結地点を…、俺の、俺の…っ、汚い螺旋を返せえええ!」
タカノはただ優雅に微笑んだまま、屋上庭園へ目をやった。夕日を浴びたケンジの大腸は、確かに静かに、そして哲学的に、そのねじれを誇示していた。
2025/11/04(火) 11:50:09.05
気色悪い
42名無し物書き@推敲中?
2025/11/04(火) 15:40:48.31 このスレはレベル高い。
2025/11/04(火) 20:17:57.18
高いは煙突。
2025/11/04(火) 21:32:57.47
煙突は丸い。
45名無し物書き@推敲中?
2025/11/05(水) 09:47:20.69 ★灰と円
ディスプレイの冷たい青光りが、真夜中の研究室を照らしていた。
匿名掲示板のオカルトスレッドには、「集合的無意識」に関する狂気じみた考察が飛び交っていた。博士課程の佐伯は、コーヒーの湯気に目を細めながら、その議論の異常な熱量に背筋が寒くなった。
「まったく、気色悪い」
しかし、彼の指はスクロールを止めない。アカデミアでは禁忌とされる発想が、ここでは生々しいデータと結びつけられているのだ。
「だが、認めざるを得ないな。このスレはレベル高い」
佐伯がそう呟くと、スレッドの住人が哲学的とも取れるレスを投下した。
「レベルが高い、とは、突き詰めた結果だ。最高の高さ、それはつまり、高いは煙突」
佐伯は思考を巡らせた。幼い頃、祖父の家から見えた、煤けた工場地帯の巨大な煙突。それは、効率と産業が生み出した、人間の欲望の象徴だった。
「そして、最高の強度を伴う。なぜなら、煙突は丸い」
丸い。円柱は最も強く、最も高く立つための形。彼らは、単に高さを論じているのではない。彼らが追求するのは、常識や倫理を凌駕した、論理の完璧な構造(丸さ)なのだ。
佐伯は、自分の理論の「高さ」を追求するあまり、倫理的な「丸さ」を失いかけていることを悟った。非人道的な実験データに手を出しそうになっていた自分自身が、このスレッドの熱狂と同じくらい気色悪い。
彼が追い求めていた「真実」は、この冷たいディスプレイの中ではなく、煙突の先から立ち昇る、灰色の煙の奥にあった。
佐伯はキーボードから手を離した。円と高さを両立させるには、自分が一度、この「レベルの高い」議論から距離を置く必要がある。
彼は電源ボタンに、ゆっくりと指を伸ばした。
ディスプレイの冷たい青光りが、真夜中の研究室を照らしていた。
匿名掲示板のオカルトスレッドには、「集合的無意識」に関する狂気じみた考察が飛び交っていた。博士課程の佐伯は、コーヒーの湯気に目を細めながら、その議論の異常な熱量に背筋が寒くなった。
「まったく、気色悪い」
しかし、彼の指はスクロールを止めない。アカデミアでは禁忌とされる発想が、ここでは生々しいデータと結びつけられているのだ。
「だが、認めざるを得ないな。このスレはレベル高い」
佐伯がそう呟くと、スレッドの住人が哲学的とも取れるレスを投下した。
「レベルが高い、とは、突き詰めた結果だ。最高の高さ、それはつまり、高いは煙突」
佐伯は思考を巡らせた。幼い頃、祖父の家から見えた、煤けた工場地帯の巨大な煙突。それは、効率と産業が生み出した、人間の欲望の象徴だった。
「そして、最高の強度を伴う。なぜなら、煙突は丸い」
丸い。円柱は最も強く、最も高く立つための形。彼らは、単に高さを論じているのではない。彼らが追求するのは、常識や倫理を凌駕した、論理の完璧な構造(丸さ)なのだ。
佐伯は、自分の理論の「高さ」を追求するあまり、倫理的な「丸さ」を失いかけていることを悟った。非人道的な実験データに手を出しそうになっていた自分自身が、このスレッドの熱狂と同じくらい気色悪い。
彼が追い求めていた「真実」は、この冷たいディスプレイの中ではなく、煙突の先から立ち昇る、灰色の煙の奥にあった。
佐伯はキーボードから手を離した。円と高さを両立させるには、自分が一度、この「レベルの高い」議論から距離を置く必要がある。
彼は電源ボタンに、ゆっくりと指を伸ばした。
46名無し物書き@推敲中?
2025/11/08(土) 16:00:09.66 ★賢者タイム
午後三時。
俺(32・無職・実家暮らし)は、万年床の上でスマホをスワイプしていた。
部屋はカーテンが閉め切られ、モニターの光だけが埃を照らしている。
SNSを開くと、元カノ(現・人妻)のキラキラした投稿が目に飛び込んできた。
『今日は旦那さんとフレンチディナー! いつもありがとう♡ #記念日 #旦那さん大好き #幸せ』
高級そうな皿の上には、泡立った何かと、申し訳程度の肉が乗っている。
「出たよw 泡()料理w」俺は思わず声に出して笑った。
「こんなマズそうなもんに何万も払うとか、マジで理解不能だわ。旦那()もどうせ、しがないサラリーマンだろ。見栄張って乙w」
俺は即座に匿名掲示板を開き、「既婚女の痛いインスタを晒すスレ」に書き込んだ。
『ID: 俺』
【悲報】元カノさん、今日も元気に「幸せ」アピールwww
旦那(ATM)に寄生して食う泡フレンチ、美味いか?w
すぐにレスがつく。
『ID: Abc』
1 乙。そういう女、マジで無理だわ
『ID: Xyz』
泡(洗剤)だろw
『ID: Def』
旦那も可哀想に。こんなのと結婚とか罰ゲームかよw
「だよなwww」
俺は腹を抱えて笑った。そうだ。真実はいつもここにある。あんな見栄と虚飾にまみれた「幸せ」ごっこに、何の意味がある?俺は、世の中の真理を知っている「賢者」だ。社会の歯車になって、女に搾取されるだけの哀れな連中とは違う。
『ID: 俺』
マジそれな。俺は騙されんわ。
今日も一日、生産性のないクソみたいな労働、ご苦労さんですわwww
書き込んだ瞬間、猛烈な満足感が押し寄せた。
これだ。これが「勝利」だ。
ふと、階下から母親の怒鳴り声が聞こえた。
「たかし! あんたまたネットばっかりやって! いい加減ハローワーク行きなさい!」
うるせえな、ババア。
俺はスマホの画面に目を戻した。スレはまだ伸びている。
俺の「勝利」は、まだ続いている。
午後三時。
俺(32・無職・実家暮らし)は、万年床の上でスマホをスワイプしていた。
部屋はカーテンが閉め切られ、モニターの光だけが埃を照らしている。
SNSを開くと、元カノ(現・人妻)のキラキラした投稿が目に飛び込んできた。
『今日は旦那さんとフレンチディナー! いつもありがとう♡ #記念日 #旦那さん大好き #幸せ』
高級そうな皿の上には、泡立った何かと、申し訳程度の肉が乗っている。
「出たよw 泡()料理w」俺は思わず声に出して笑った。
「こんなマズそうなもんに何万も払うとか、マジで理解不能だわ。旦那()もどうせ、しがないサラリーマンだろ。見栄張って乙w」
俺は即座に匿名掲示板を開き、「既婚女の痛いインスタを晒すスレ」に書き込んだ。
『ID: 俺』
【悲報】元カノさん、今日も元気に「幸せ」アピールwww
旦那(ATM)に寄生して食う泡フレンチ、美味いか?w
すぐにレスがつく。
『ID: Abc』
1 乙。そういう女、マジで無理だわ
『ID: Xyz』
泡(洗剤)だろw
『ID: Def』
旦那も可哀想に。こんなのと結婚とか罰ゲームかよw
「だよなwww」
俺は腹を抱えて笑った。そうだ。真実はいつもここにある。あんな見栄と虚飾にまみれた「幸せ」ごっこに、何の意味がある?俺は、世の中の真理を知っている「賢者」だ。社会の歯車になって、女に搾取されるだけの哀れな連中とは違う。
『ID: 俺』
マジそれな。俺は騙されんわ。
今日も一日、生産性のないクソみたいな労働、ご苦労さんですわwww
書き込んだ瞬間、猛烈な満足感が押し寄せた。
これだ。これが「勝利」だ。
ふと、階下から母親の怒鳴り声が聞こえた。
「たかし! あんたまたネットばっかりやって! いい加減ハローワーク行きなさい!」
うるせえな、ババア。
俺はスマホの画面に目を戻した。スレはまだ伸びている。
俺の「勝利」は、まだ続いている。
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