「東京カメラ部に告ぐ」

敕命が發せられたのである。
既に天皇陛下の御命令が發せられたのである。

お前達は先輩の命令を正しいものと信じて絶對服從をして、
誠心誠意活動して來たのであろうが、
お前達の先輩のした行爲は間違ってゐたのである。
既に天皇陛下の御命令によって
お前達は皆東京カメラ部をやめろと仰せられたのである。

此上お前達が飽くまでも抵抗したならば、それは
敕命に反抗することとなり逆賊とならなければならない。
正しいことをしてゐると信じてゐたのに、それが間違って
居ったと知ったならば、徒らに今迄の行きがかりや、
義理上からいつまでも反抗的態度をとって
天皇陛下にそむき奉り、逆賊としての汚名を永久に受ける
樣なことがあってはならない。

今からでも決して遲くはないから
直ちに抵抗をやめて東京カメラ部をやめる樣にせよ。
そうしたら今迄の罪も許されるのである。
お前達の父兄は勿論のこと、国民全体もそれを
心から祈ってゐるのである。
速かに現在の位置を棄てゝ歸って來い。
    
      昭和十一年二月二十九日 戒嚴司令官 香椎中將