注目新刊:「現代思想2020年6月号 特集:汎心論」ほか (月曜社公式ウェブサイト, 2020-05-31)
https://urag.exblog.jp/240357715/

(途中略)

作品社さんの5月新刊より3点。
特記しておきたいのは「Legalizing Misandry: From Public Shame to Systemic Discrimination
Against Men」(McGill-Queen's University Press, 2006)の抄訳「法制度における男性差別」。
訳者あとがきによれば割愛したのは第1章(マクマーティン児童性的虐待事件)、第8章(セク
シュアルハラスメントの法律)、付録2~5および7~13とのこと。そのかわり、巻頭にはネイサ
ンソンによる日本語版序文「より広がり続ける男性蔑視〔ミサンドリー〕――「レイプカルチャー」
から「#Me Too」へ」が収められています。「男性全体に対する敵意の津波は、アンデンティティ
ハラスメントに達している。これは男性にとって、女性にとってのセクシュアルハラスメントと
機能的に同等であると私は示唆する」(8頁)。「自分たちが潜在的なレイピストである――そして
法律からそのように扱われるのに値する――と信じるようになった男性が、健全なアイデン
ティティを持てる確率は極めて低い。男性は悪の加害者階級であるという考えを言行ともに
押し進めている全ての女性は、つまり簡単に言えば、男性をハラスメントしている」(8~9頁)。
本書に先行するネイサンソン/ヤングの共著には「広がるミサンドリー――ポピュラーカルチャー、
メディアにおける男性差別」(原著2001年; 久米泰介訳、彩流社、2016年)があります。