オレは、そこで靴を履いてる男たちが、こちらに聞き耳を立てていることに気づく。
ここは蛇の巣。政治闘争の場だ。

オレはだんだんおそろしくなる。
これはもしかしたらなにかの陰謀じゃないのか。オレはハメられたんじゃないか。
事情を聴いてた銀行マンも、陰謀の匂いを感じたらしく、そこにいる全員を疑い始める。
「おまえら、いったいなにものなんだ??」

聞き耳を立ててた議会人らしいひとりのおじさん、
横顔を見ると、たしかに過去オレが戦った社内政治の巨頭、陰謀家のしゃくれ上司Fに見える。
ものすごくいいスーツと靴を履いて、こちらを横目で見ている。
やばいと思って、これは大統領に報告すべきだと直感し。
そのATM責任者を連れて廊下へ出て、早歩きでこれからの相談をする。

大統領執務室に向かう廊下でオレが追い抜いた二人組の男は、変装したルパンと五右衛門だった。
もうここはダメだな、セキュリティがザルすぎる、
あとはオレがこの銀行マンに責任をどう押しつけて逃げるかってことだが…
とか考え始めている。