『初期ストア派断片集 1』


ギリシア古典学者ハンス・フォン・アルニムが100年以上前に編集したストア派の基本文献の邦訳。
全5巻で揃えたので、ちびちび読もうと思ってる。

ストア派の創始者は、この本ではゼノンとしているのだけれども、
これを犬儒学派(ディオゲネスあたり)まで遡って始祖と考える学者もいる。
その妥当性はさておき、しかし初期のストア派(グレコ・ストア)は、
やっぱりローマ時代のストア派とはまったく別物な思想なのだと
こうまとめて読むと思ったりはする。
むしろゼノンなどは、自然哲学のほうにその関心があったのではないかと思わせるほどで、
ソクラテス=プラトンとは別の思想体系ではある。

この本ではゼノンとその直接の弟子たち、
2巻以降はクリュシッポスと弟子たちの断片をまとめているが、
オレなどは、ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』でも異彩を放つ
アッソスのクレアンテスがやっぱり好きで、
『列伝』からの引用が多いにも関わらず、何度も読み返してみたりする。
彼とゼノンの関係は、どこか孔子と顔回との関係に似ている。
(クレアンテスのほうが長生きしたけれど)