桓宣武少、家貧、戲大輸、債主敦求甚切。思自振之方、莫知所出。陳郡袁躭、俊邁多能。宣武欲求救於躭。躭時居艱、恐致疑、試以告焉。應聲便許、略無嫌吝。遂變服懷布帽、隨溫去、與債主戲。躭素有蓺名、債主就局曰:「汝故當不辦作袁彥道邪?」遂共戲、十萬一擲、直上百萬。數投馬絕叫、傍若無人。探布帽擲對人曰:「汝竟識袁彥道不?」

桓宣武の少きに、家は貧し。戲せるに大いに輸け、債主の敦求せること甚だ切なり。自ら振うの方を思えど、出ずる所を知る莫し。陳郡の袁躭は俊邁にして多能、宣武は躭に救いを求めんと欲す。躭は時にして艱に居り、疑を致さんととを恐る。試みに以て告ぐれば、聲に應じて便ち許し、略ぼ嫌吝せる無し。遂にして服を變え布帽を懷き、溫に隨って去き、債主と戲す。躭は素より蓺に名有り。債主は局に就きて曰く「汝、故より當に袁彥道を作さるを辦ぜざらんか?」と。遂に共に戲し、十萬を一擲にして直ちに百萬數に上る。馬を投じて絕叫せるに、傍らに人無きが若し。布帽を探りて對せる人に擲ちて曰く「汝、竟には袁彥道を識れるや不や?」と。